ヨハネによる福音書 6

1 そののち、イエスはガリラヤの海、すなわち、テベリヤ湖の向こう岸へ渡られた。 2 すると、大ぜいの群衆がイエスについてきた。病人たちになさっていたしるしを見たからである。 3 イエスは山に登って、弟子たちと一緒にそこで座につかれた。 4 時に、ユダヤ人の祭である過越が間近になっていた。 5 イエスは目をあげ、大ぜいの群衆が自分の方に集まって来るのを見て、ピリポに言われた、「どこからパンを買ってきて、この人々に食べさせようか」。 6 これはピリポをためそうとして言われたのであって、ご自分ではしようとすることを、よくご承知であった。 7 すると、ピリポはイエスに答えた、「二百デナリのパンがあっても、めいめいが少しずついただくにも足りますまい」。 8 弟子のひとり、シモン・ペテロの兄弟アンデレがイエスに言った、 9 「ここに、大麦のパン五つと、さかな二ひきとを持っている子供がいます。しかし、こんなに大ぜいの人では、それが何になりましょう」。 10 イエスは「人々をすわらせなさい」と言われた。その場所には草が多かった。そこにすわった男の数は五千人ほどであった。 11 そこで、イエスはパンを取り、感謝してから、すわっている人々に分け与え、また、さかなをも同様にして、彼らの望むだけ分け与えられた。 12 人々がじゅうぶんに食べたのち、イエスは弟子たちに言われた、「少しでもむだにならないように、パンくずのあまりを集めなさい」。 13 そこで彼らが集めると、五つの大麦のパンを食べて残ったパンくずは、十二のかごにいっぱいになった。 14 人々はイエスのなさったこのしるしを見て、「ほんとうに、この人こそ世にきたるべき預言者である」と言った。 15 イエスは人々がきて、自分をとらえて王にしようとしていると知って、ただひとり、また山に退かれた。 16 夕方になったとき、弟子たちは海べに下り、 17 舟に乗って海を渡り、向こう岸のカペナウムに行きかけた。すでに暗くなっていたのに、イエスはまだ彼らのところにおいでにならなかった。 18 その上、強い風が吹いてきて、海は荒れ出した。 19 四、五十丁こぎ出したとき、イエスが海の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、彼らは恐れた。 20 すると、イエスは彼らに言われた、「わたしだ、恐れることはない」。 21 そこで、彼らは喜んでイエスを舟に迎えようとした。すると舟は、すぐ、彼らが行こうとしていた地に着いた。 22 その翌日、海の向こう岸に立っていた群衆は、そこに小舟が一そうしかなく、またイエスは弟子たちと一緒に小舟にお乗りにならず、ただ弟子たちだけが船出したのを見た。 23 しかし、数そうの小舟がテベリヤからきて、主が感謝されたのちパンを人々に食べさせた場所に近づいた。 24 群衆は、イエスも弟子たちもそこにいないと知って、それらの小舟に乗り、イエスをたずねてカペナウムに行った。 25 そして、海の向こう岸でイエスに出会ったので言った、「先生、いつ、ここにおいでになったのですか」。 …

ヨハネによる福音書 5

1 こののち、ユダヤ人の祭があったので、イエスはエルサレムに上られた。 2 エルサレムにある羊の門のそばに、ヘブル語でベテスダと呼ばれる池があった。そこには五つの廊があった。 3 その廊の中には、病人、盲人、足なえ、やせ衰えた者などが、大ぜいからだを横たえていた。〔彼らは水の動くのを待っていたのである。 4 それは、時々、主の御使がこの池に降りてきて水を動かすことがあるが、水が動いた時まっ先にはいる者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。〕 5 さて、そこに三十八年のあいだ、病気に悩んでいる人があった。 6 イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。 7 この病人はイエスに答えた、「主よ、水が動く時に、わたしを池の中に入れてくれる人がいません。わたしがはいりかけると、ほかの人が先に降りて行くのです」。 8 イエスは彼に言われた、「起きて、あなたの床を取りあげ、そして歩きなさい」。 9 48 John.5.9 10 そこでユダヤ人たちは、そのいやされた人に言った、「きょうは安息日だ。床を取りあげるのは、よろしくない」。 11 彼は答えた、「わたしをなおして下さったかたが、床を取りあげて歩けと、わたしに言われました」。 12 彼らは尋ねた、「取りあげて歩けと言った人は、だれか」。 13 しかし、このいやされた人は、それがだれであるか知らなかった。群衆がその場にいたので、イエスはそっと出て行かれたからである。 14 そののち、イエスは宮でその人に出会ったので、彼に言われた、「ごらん、あなたはよくなった。もう罪を犯してはいけない。何かもっと悪いことが、あなたの身に起るかも知れないから」。 15 彼は出て行って、自分をいやしたのはイエスであったと、ユダヤ人たちに告げた。 16 そのためユダヤ人たちは、安息日にこのようなことをしたと言って、イエスを責めた。 17 そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。 18 このためにユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうと計るようになった。それは、イエスが安息日を破られたばかりではなく、神を自分の父と呼んで、自分を神と等しいものとされたからである。 19 さて、イエスは彼らに答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。子は父のなさることを見てする以外に、自分からは何事もすることができない。父のなさることであればすべて、子もそのとおりにするのである。 20 なぜなら、父は子を愛して、みずからなさることは、すべて子にお示しになるからである。そして、それよりもなお大きなわざを、お示しになるであろう。あなたがたが、それによって不思議に思うためである。 21 すなわち、父が死人を起して命をお与えになるように、子もまた、そのこころにかなう人々に命を与えるであろう。 22 父はだれをもさばかない。さばきのことはすべて、子にゆだねられたからである。 23 それは、すべての人が父を敬うと同様に、子を敬うためである。子を敬わない者は、子をつかわされた父をも敬わない。 24 よくよくあなたがたに言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをつかわされたかたを信じる者は、永遠の命を受け、またさばかれることがなく、死から命に移っているのである。 25 …

ヨハネによる福音書 4

1 イエスが、ヨハネよりも多く弟子をつくり、またバプテスマを授けておられるということを、パリサイ人たちが聞き、それを主が知られたとき、 2 (しかし、イエスみずからが、バプテスマをお授けになったのではなく、その弟子たちであった) 3 ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。 4 しかし、イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。 5 そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、 6 そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。 7 ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。 8 弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。 9 すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。 10 イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。 11 女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。 12 あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。 13 イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。 14 しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。 15 女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。 16 イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。 17 女は答えて言った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。 18 あなたには五人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。 19 女はイエスに言った、「主よ、わたしはあなたを預言者と見ます。 20 わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。 21 イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。 22 あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。 23 しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。 24 神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。 25 女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。 …

ヨハネによる福音書 3

1 パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。 2 この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。 3 イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。 4 ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。 5 イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。 6 肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。 7 あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。 8 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。 9 ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。 10 イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。 11 よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。 12 わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか。 13 天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。 14 そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。 15 それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。 16 神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。 17 神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。 18 彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。神のひとり子の名を信じることをしないからである。 19 そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。 20 悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。 21 しかし、真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの、神にあってなされたということが、明らかにされるためである。 22 こののち、イエスは弟子たちとユダヤの地に行き、彼らと一緒にそこに滞在して、バプテスマを授けておられた。 23 ヨハネもサリムに近いアイノンで、バプテスマを授けていた。そこには水がたくさんあったからである。人々がぞくぞくとやってきてバプテスマを受けていた。 24 そのとき、ヨハネはまだ獄に入れられてはいなかった。 25 ところが、ヨハネの弟子たちとひとりのユダヤ人との間に、きよめのことで争論が起った。 …

ヨハネによる福音書 2

1 三日目にガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。 2 イエスも弟子たちも、その婚礼に招かれた。 3 ぶどう酒がなくなったので、母はイエスに言った、「ぶどう酒がなくなってしまいました」。 4 イエスは母に言われた、「婦人よ、あなたは、わたしと、なんの係わりがありますか。わたしの時は、まだきていません」。 5 母は僕たちに言った、「このかたが、あなたがたに言いつけることは、なんでもして下さい」。 6 そこには、ユダヤ人のきよめのならわしに従って、それぞれ四、五斗もはいる石の水がめが、六つ置いてあった。 7 イエスは彼らに「かめに水をいっぱい入れなさい」と言われたので、彼らは口のところまでいっぱいに入れた。 8 そこで彼らに言われた、「さあ、くんで、料理がしらのところに持って行きなさい」。すると、彼らは持って行った。 9 料理がしらは、ぶどう酒になった水をなめてみたが、それがどこからきたのか知らなかったので、(水をくんだ僕たちは知っていた)花婿を呼んで 10 言った、「どんな人でも、初めによいぶどう酒を出して、酔いがまわったころにわるいのを出すものだ。それだのに、あなたはよいぶどう酒を今までとっておかれました」。 11 イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行い、その栄光を現された。そして弟子たちはイエスを信じた。 12 そののち、イエスは、その母、兄弟たち、弟子たちと一緒に、カペナウムに下って、幾日かそこにとどまられた。 13 さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、イエスはエルサレムに上られた。 14 そして牛、羊、はとを売る者や両替する者などが宮の庭にすわり込んでいるのをごらんになって、 15 なわでむちを造り、羊も牛もみな宮から追いだし、両替人の金を散らし、その台をひっくりかえし、 16 はとを売る人々には「これらのものを持って、ここから出て行け。わたしの父の家を商売の家とするな」と言われた。 17 弟子たちは、「あなたの家を思う熱心が、わたしを食いつくすであろう」と書いてあることを思い出した。 18 そこで、ユダヤ人はイエスに言った、「こんなことをするからには、どんなしるしをわたしたちに見せてくれますか」。 19 イエスは彼らに答えて言われた、「この神殿をこわしたら、わたしは三日のうちに、それを起すであろう」。 20 そこで、ユダヤ人たちは言った、「この神殿を建てるのには、四十六年もかかっています。それだのに、あなたは三日のうちに、それを建てるのですか」。 21 イエスは自分のからだである神殿のことを言われたのである。 22 それで、イエスが死人の中からよみがえったとき、弟子たちはイエスがこう言われたことを思い出して、聖書とイエスのこの言葉とを信じた。 23 過越の祭の間、イエスがエルサレムに滞在しておられたとき、多くの人々は、その行われたしるしを見て、イエスの名を信じた。 24 しかしイエスご自身は、彼らに自分をお任せにならなかった。それは、すべての人を知っておられ、 25 また人についてあかしする者を、必要とされなかったからである。それは、ご自身人の心の中にあることを知っておられたからである。

ヨハネによる福音書 1

1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 2 この言は初めに神と共にあった。 3 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 4 この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。 5 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。 6 ここにひとりの人があって、神からつかわされていた。その名をヨハネと言った。 7 この人はあかしのためにきた。光についてあかしをし、彼によってすべての人が信じるためである。 8 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。 9 すべての人を照すまことの光があって、世にきた。 10 彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。 11 彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。 12 しかし、彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。 13 それらの人は、血すじによらず、肉の欲によらず、また、人の欲にもよらず、ただ神によって生れたのである。 14 そして言は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た。それは父のひとり子としての栄光であって、めぐみとまこととに満ちていた。 15 ヨハネは彼についてあかしをし、叫んで言った、「『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである」。 16 わたしたちすべての者は、その満ち満ちているものの中から受けて、めぐみにめぐみを加えられた。 17 律法はモーセをとおして与えられ、めぐみとまこととは、イエス・キリストをとおしてきたのである。 18 神を見た者はまだひとりもいない。ただ父のふところにいるひとり子なる神だけが、神をあらわしたのである。 19 さて、ユダヤ人たちが、エルサレムから祭司たちやレビ人たちをヨハネのもとにつかわして、「あなたはどなたですか」と問わせたが、その時ヨハネが立てたあかしは、こうであった。 20 すなわち、彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。 21 そこで、彼らは問うた、「それでは、どなたなのですか、あなたはエリヤですか」。彼は「いや、そうではない」と言った。「では、あの預言者ですか」。彼は「いいえ」と答えた。 22 そこで、彼らは言った、「あなたはどなたですか。わたしたちをつかわした人々に、答を持って行けるようにしていただきたい。あなた自身をだれだと考えるのですか」。 23 彼は言った、「わたしは、預言者イザヤが言ったように、『主の道をまっすぐにせよと荒野で呼ばわる者の声』である」。 24 つかわされた人たちは、パリサイ人であった。 25 彼らはヨハネに問うて言った、「では、あなたがキリストでもエリヤでもまたあの預言者でもないのなら、なぜバプテスマを授けるのですか」。 …

ルカによる福音書 24

1 週の初めの日、夜明け前に、女たちは用意しておいた香料を携えて、墓に行った。 2 ところが、石が墓からころがしてあるので、 3 中にはいってみると、主イエスのからだが見当らなかった。 4 そのため途方にくれていると、見よ、輝いた衣を着たふたりの者が、彼らに現れた。 5 女たちは驚き恐れて、顔を地に伏せていると、このふたりの者が言った、「あなたがたは、なぜ生きた方を死人の中にたずねているのか。 6 そのかたは、ここにはおられない。よみがえられたのだ。まだガリラヤにおられたとき、あなたがたにお話しになったことを思い出しなさい。 7 すなわち、人の子は必ず罪人らの手に渡され、十字架につけられ、そして三日目によみがえる、と仰せられたではないか」。 8 そこで女たちはその言葉を思い出し、 9 墓から帰って、これらいっさいのことを、十一弟子や、その他みんなの人に報告した。 10 この女たちというのは、マグダラのマリヤ、ヨハンナ、およびヤコブの母マリヤであった。彼女たちと一緒にいたほかの女たちも、このことを使徒たちに話した。 11 ところが、使徒たちには、それが愚かな話のように思われて、それを信じなかった。〔 12 ペテロは立って墓へ走って行き、かがんで中を見ると、亜麻布だけがそこにあったので、事の次第を不思議に思いながら帰って行った。〕 13 この日、ふたりの弟子が、エルサレムから七マイルばかり離れたエマオという村へ行きながら、 14 このいっさいの出来事について互に語り合っていた。 15 語り合い論じ合っていると、イエスご自身が近づいてきて、彼らと一緒に歩いて行かれた。 16 しかし、彼らの目がさえぎられて、イエスを認めることができなかった。 17 イエスは彼らに言われた、「歩きながら互に語り合っているその話は、なんのことなのか」。彼らは悲しそうな顔をして立ちどまった。 18 そのひとりのクレオパという者が、答えて言った、「あなたはエルサレムに泊まっていながら、あなただけが、この都でこのごろ起ったことをご存じないのですか」。 19 「それは、どんなことか」と言われると、彼らは言った、「ナザレのイエスのことです。あのかたは、神とすべての民衆との前で、わざにも言葉にも力ある預言者でしたが、 20 祭司長たちや役人たちが、死刑に処するために引き渡し、十字架につけたのです。 21 わたしたちは、イスラエルを救うのはこの人であろうと、望みをかけていました。しかもその上に、この事が起ってから、きょうが三日目なのです。 22 ところが、わたしたちの仲間である数人の女が、わたしたちを驚かせました。というのは、彼らが朝早く墓に行きますと、 23 イエスのからだが見当らないので、帰ってきましたが、そのとき御使が現れて、『イエスは生きておられる』と告げたと申すのです。 24 それで、わたしたちの仲間が数人、墓に行って見ますと、果して女たちが言ったとおりで、イエスは見当りませんでした」。 25 そこでイエスが言われた、「ああ、愚かで心のにぶいため、預言者たちが説いたすべての事を信じられない者たちよ。 …

ルカによる福音書 23

1 群衆はみな立ちあがって、イエスをピラトのところへ連れて行った。 2 そして訴え出て言った、「わたしたちは、この人が国民を惑わし、貢をカイザルに納めることを禁じ、また自分こそ王なるキリストだと、となえているところを目撃しました」。 3 ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは「そのとおりである」とお答えになった。 4 そこでピラトは祭司長たちと群衆とにむかって言った、「わたしはこの人になんの罪もみとめない」。 5 ところが彼らは、ますます言いつのってやまなかった、「彼は、ガリラヤからはじめてこの所まで、ユダヤ全国にわたって教え、民衆を煽動しているのです」。 6 ピラトはこれを聞いて、この人はガリラヤ人かと尋ね、 7 そしてヘロデの支配下のものであることを確かめたので、ちょうどこのころ、ヘロデがエルサレムにいたのをさいわい、そちらへイエスを送りとどけた。 8 ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。それは、かねてイエスのことを聞いていたので、会って見たいと長いあいだ思っていたし、またイエスが何か奇跡を行うのを見たいと望んでいたからである。 9 それで、いろいろと質問を試みたが、イエスは何もお答えにならなかった。 10 祭司長たちと律法学者たちとは立って、激しい語調でイエスを訴えた。 11 またヘロデはその兵卒どもと一緒になって、イエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はなやかな着物を着せてピラトへ送りかえした。 12 ヘロデとピラトとは以前は互に敵視していたが、この日に親しい仲になった。 13 ピラトは、祭司長たちと役人たちと民衆とを、呼び集めて言った、 14 「おまえたちは、この人を民衆を惑わすものとしてわたしのところに連れてきたので、おまえたちの面前でしらべたが、訴え出ているような罪は、この人に少しもみとめられなかった。 15 ヘロデもまたみとめなかった。現に彼はイエスをわれわれに送りかえしてきた。この人はなんら死に当るようなことはしていないのである。 16 だから、彼をむち打ってから、ゆるしてやることにしよう」。〔 17 祭ごとにピラトがひとりの囚人をゆるしてやることになっていた。〕 18 ところが、彼らはいっせいに叫んで言った、「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」。 19 このバラバは、都で起った暴動と殺人とのかどで、獄に投ぜられていた者である。 20 ピラトはイエスをゆるしてやりたいと思って、もう一度かれらに呼びかけた。 21 しかし彼らは、わめきたてて「十字架につけよ、彼を十字架につけよ」と言いつづけた。 22 ピラトは三度目に彼らにむかって言った、「では、この人は、いったい、どんな悪事をしたのか。彼には死に当る罪は全くみとめられなかった。だから、むち打ってから彼をゆるしてやることにしよう」。 23 ところが、彼らは大声をあげて詰め寄り、イエスを十字架につけるように要求した。そして、その声が勝った。 24 ピラトはついに彼らの願いどおりにすることに決定した。 25 そして、暴動と殺人とのかどで獄に投ぜられた者の方を、彼らの要求に応じてゆるしてやり、イエスの方は彼らに引き渡して、その意のままにまかせた。 …

ルカによる福音書 22

1 さて、過越といわれている除酵祭が近づいた。 2 祭司長たちや律法学者たちは、どうかしてイエスを殺そうと計っていた。民衆を恐れていたからである。 3 そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテと呼ばれていたユダに、サタンがはいった。 4 すなわち、彼は祭司長たちや宮守がしらたちのところへ行って、どうしてイエスを彼らに渡そうかと、その方法について協議した。 5 彼らは喜んで、ユダに金を与える取決めをした。 6 ユダはそれを承諾した。そして、群衆のいないときにイエスを引き渡そうと、機会をねらっていた。 7 さて、過越の小羊をほふるべき除酵祭の日がきたので、 8 イエスはペテロとヨハネとを使いに出して言われた、「行って、過越の食事ができるように準備をしなさい」。 9 彼らは言った、「どこに準備をしたらよいのですか」。 10 イエスは言われた、「市内にはいったら、水がめを持っている男に出会うであろう。その人がはいる家までついて行って、 11 その家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 12 すると、その主人は席の整えられた二階の広間を見せてくれるから、そこに用意をしなさい」。 13 弟子たちは出て行ってみると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 14 時間になったので、イエスは食卓につかれ、使徒たちも共に席についた。 15 イエスは彼らに言われた、「わたしは苦しみを受ける前に、あなたがたとこの過越の食事をしようと、切に望んでいた。 16 あなたがたに言って置くが、神の国で過越が成就する時までは、わたしは二度と、この過越の食事をすることはない」。 17 そして杯を取り、感謝して言われた、「これを取って、互に分けて飲め。 18 あなたがたに言っておくが、今からのち神の国が来るまでは、わたしはぶどうの実から造ったものを、いっさい飲まない」。 19 またパンを取り、感謝してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「これは、あなたがたのために与えるわたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 20 食事ののち、杯も同じ様にして言われた、「この杯は、あなたがたのために流すわたしの血で立てられる新しい契約である。 21 しかし、そこに、わたしを裏切る者が、わたしと一緒に食卓に手を置いている。 22 人の子は定められたとおりに、去って行く。しかし人の子を裏切るその人は、わざわいである」。 23 弟子たちは、自分たちのうちのだれが、そんな事をしようとしているのだろうと、互に論じはじめた。 24 それから、自分たちの中でだれがいちばん偉いだろうかと言って、争論が彼らの間に、起った。 25 そこでイエスが言われた、「異邦の王たちはその民の上に君臨し、また、権力をふるっている者たちは恩人と呼ばれる。 …

ルカによる福音書 21

1 イエスは目をあげて、金持たちがさいせん箱に献金を投げ入れるのを見られ、 2 また、ある貧しいやもめが、レプタ二つを入れるのを見て 3 言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。 4 これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである」。 5 ある人々が、見事な石と奉納物とで宮が飾られていることを話していたので、イエスは言われた、 6 「あなたがたはこれらのものをながめているが、その石一つでもくずされずに、他の石の上に残ることもなくなる日が、来るであろう」。 7 そこで彼らはたずねた、「先生、では、いつそんなことが起るのでしょうか。またそんなことが起るような場合には、どんな前兆がありますか」。 8 イエスが言われた、「あなたがたは、惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだとか、時が近づいたとか、言うであろう。彼らについて行くな。 9 戦争と騒乱とのうわさを聞くときにも、おじ恐れるな。こうしたことはまず起らねばならないが、終りはすぐにはこない」。 10 それから彼らに言われた、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。 11 また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。 12 しかし、これらのあらゆる出来事のある前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害をし、会堂や獄に引き渡し、わたしの名のゆえに王や総督の前にひっぱって行くであろう。 13 それは、あなたがたがあかしをする機会となるであろう。 14 だから、どう答弁しようかと、前もって考えておかないことに心を決めなさい。 15 あなたの反対者のだれもが抗弁も否定もできないような言葉と知恵とを、わたしが授けるから。 16 しかし、あなたがたは両親、兄弟、親族、友人にさえ裏切られるであろう。また、あなたがたの中で殺されるものもあろう。 17 また、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。 18 しかし、あなたがたの髪の毛一すじでも失われることはない。 19 あなたがたは耐え忍ぶことによって、自分の魂をかち取るであろう。 20 エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば、そのときは、その滅亡が近づいたとさとりなさい。 21 そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。市中にいる者は、そこから出て行くがよい。また、いなかにいる者は市内にはいってはいけない。 22 それは、聖書にしるされたすべての事が実現する刑罰の日であるからだ。 23 その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。地上には大きな苦難があり、この民にはみ怒りが臨み、 24 彼らはつるぎの刃に倒れ、また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。 25 また日と月と星とに、しるしが現れるであろう。そして、地上では、諸国民が悩み、海と大波とのとどろきにおじ惑い、 …