1 そのころユダは兄弟たちを離れて下り、アドラムびとで、名をヒラという者の所へ行った。 2 ユダはその所で、名をシュアというカナンびとの娘を見て、これをめとり、その所にはいった。 3 彼女はみごもって男の子を産んだので、ユダは名をエルと名づけた。 4 彼女は再びみごもって男の子を産み、名をオナンと名づけた。 5 また重ねて、男の子を産み、名をシラと名づけた。彼女はこの男の子を産んだとき、クジブにおった。 6 ユダは長子エルのために、名をタマルという妻を迎えた。 7 しかしユダの長子エルは主の前に悪い者であったので、主は彼を殺された。 8 そこでユダはオナンに言った、「兄の妻の所にはいって、彼女をめとり、兄に子供を得させなさい」。 9 しかしオナンはその子が自分のものとならないのを知っていたので、兄の妻の所にはいった時、兄に子を得させないために地に洩らした。 10 彼のした事は主の前に悪かったので、主は彼をも殺された。 11 そこでユダはその子の妻タマルに言った、「わたしの子シラが成人するまで、寡婦のままで、あなたの父の家にいなさい」。彼は、シラもまた兄弟たちのように死ぬかもしれないと、思ったからである。それでタマルは行って父の家におった。 12 日がたってシュアの娘ユダの妻は死んだ。その後、ユダは喪を終ってその友アドラムびとヒラと共にテムナに上り、自分の羊の毛を切る者のところへ行った。 13 時に、ひとりの人がタマルに告げて、「あなたのしゅうとが羊の毛を切るためにテムナに上って来る」と言ったので、 14 彼女は寡婦の衣服を脱ぎすて、被衣で身をおおい隠して、テムナへ行く道のかたわらにあるエナイムの入口にすわっていた。彼女はシラが成人したのに、自分がその妻にされないのを知ったからである。 15 ユダは彼女を見たとき、彼女が顔をおおっていたため、遊女だと思い、 16 道のかたわらで彼女に向かって言った、「さあ、あなたの所にはいらせておくれ」。彼はこの女がわが子の妻であることを知らなかったからである。彼女は言った、「わたしの所にはいるため、何をくださいますか」。 17 ユダは言った、「群れのうちのやぎの子をあなたにあげよう」。彼女は言った、「それをくださるまで、しるしをわたしにくださいますか」。 18 ユダは言った、「どんなしるしをあげようか」。彼女は言った、「あなたの印と紐と、あなたの手にあるつえとを」。彼はこれらを与えて彼女の所にはいった。彼女はユダによってみごもった。 19 彼女は起きて去り、被衣を脱いで寡婦の衣服を着た。 20 やがてユダはその女からしるしを取りもどそうと、その友アドラムびとに託してやぎの子を送ったけれども、その女を見いだせなかった。 21 そこで彼はその所の人々に尋ねて言った、「エナイムで道のかたわらにいた遊女はどこにいますか」。彼らは言った、「ここには遊女はいません」。 22 彼はユダのもとに帰って言った、「わたしは彼女を見いだせませんでした。またその所の人々は、『ここには遊女はいない』と言いました」。 23 そこでユダは言った、「女に持たせておこう。わたしたちは恥をかくといけないから。とにかく、わたしはこのやぎの子を送ったが、あなたは彼女を見いだせなかったのだ」。 24 ところが三月ほどたって、ひとりの人がユダに言った、「あなたの嫁タマルは姦淫しました。そのうえ、彼女は姦淫によってみごもりました」。ユダは言った、「彼女を引き出して焼いてしまえ」。 25 彼女は引き出された時、そのしゅうとに人をつかわして言った、「わたしはこれをもっている人によって、みごもりました」。彼女はまた言った、「どうか、この印と、紐と、つえとはだれのものか、見定めてください」。 …
創世記 37
1 ヤコブは父の寄留の地、すなわちカナンの地に住んだ。 2 37 Gen.37.2 3 ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。 4 兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。 5 ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。 6 ヨセフは彼らに言った、「どうぞわたしが見た夢を聞いてください。 7 わたしたちが畑の中で束を結わえていたとき、わたしの束が起きて立つと、あなたがたの束がまわりにきて、わたしの束を拝みました」。 8 すると兄弟たちは彼に向かって、「あなたはほんとうにわたしたちの王になるのか。あなたは実際わたしたちを治めるのか」と言って、彼の夢とその言葉のゆえにますます彼を憎んだ。 9 ヨセフはまた一つの夢を見て、それを兄弟たちに語って言った、「わたしはまた夢を見ました。日と月と十一の星とがわたしを拝みました」。 10 彼はこれを父と兄弟たちに語ったので、父は彼をとがめて言った、「あなたが見たその夢はどういうのか。ほんとうにわたしとあなたの母と、兄弟たちとが行って地に伏し、あなたを拝むのか」。 11 兄弟たちは彼をねたんだ。しかし父はこの言葉を心にとめた。 12 さて兄弟たちがシケムに行って、父の羊の群れを飼っていたとき、 13 イスラエルはヨセフに言った、「あなたの兄弟たちはシケムで羊を飼っているではないか。さあ、あなたを彼らの所へつかわそう」。ヨセフは父に言った、「はい、行きます」。 14 父は彼に言った、「どうか、行って、あなたの兄弟たちは無事であるか、また群れは無事であるか見てきて、わたしに知らせてください」。父が彼をヘブロンの谷からつかわしたので、彼はシケムに行った。 15 ひとりの人が彼に会い、彼が野をさまよっていたので、その人は彼に尋ねて言った、「あなたは何を捜しているのですか」。 16 彼は言った、「兄弟たちを捜しているのです。彼らが、どこで羊を飼っているのか、どうぞわたしに知らせてください」。 17 その人は言った、「彼らはここを去りました。彼らが『ドタンへ行こう』と言うのをわたしは聞きました」。そこでヨセフは兄弟たちのあとを追って行って、ドタンで彼らに会った。 18 ヨセフが彼らに近づかないうちに、彼らははるかにヨセフを見て、これを殺そうと計り、 19 互に言った、「あの夢見る者がやって来る。 20 さあ、彼を殺して穴に投げ入れ、悪い獣が彼を食ったと言おう。そして彼の夢がどうなるか見よう」。 21 ルベンはこれを聞いて、ヨセフを彼らの手から救い出そうとして言った、「われわれは彼の命を取ってはならない」。 22 ルベンはまた彼らに言った、「血を流してはいけない。彼を荒野のこの穴に投げ入れよう。彼に手をくだしてはならない」。これはヨセフを彼らの手から救いだして父に返すためであった。 23 さて、ヨセフが兄弟たちのもとへ行くと、彼らはヨセフの着物、彼が着ていた長そでの着物をはぎとり、 24 彼を捕えて穴に投げ入れた。その穴はからで、その中に水はなかった。 25 …
創世記 36
1 エサウ、すなわちエドムの系図は次のとおりである。 2 エサウはカナンの娘たちのうちから妻をめとった。すなわちヘテびとエロンの娘アダと、ヒビびとヂベオンの子アナの娘アホリバマとである。 3 また、イシマエルの娘ネバヨテの妹バスマテをめとった。 4 アダはエリパズをエサウに産み、バスマテはリウエルを産み、 5 アホリバマはエウシ、ヤラム、コラを産んだ。これらはエサウの子であって、カナンの地で彼に生れた者である。 6 エサウは妻と子と娘と家のすべての人、家畜とすべての獣、またカナンの地で獲たすべての財産を携え、兄弟ヤコブを離れてほかの地へ行った。 7 彼らの財産が多くて、一緒にいることができなかったからである。すなわち彼らが寄留した地は彼らの家畜のゆえに、彼らをささえることができなかったのである。 8 こうしてエサウはセイルの山地に住んだ。エサウはすなわちエドムである。 9 セイルの山地におったエドムびとの先祖エサウの系図は次のとおりである。 10 エサウの子らの名は次のとおりである。すなわちエサウの妻アダの子はエリパズ。エサウの妻バスマテの子はリウエル。 11 エリパズの子らはテマン、オマル、ゼポ、ガタム、ケナズである。 12 テムナはエサウの子エリパズのそばめで、アマレクをエリパズに産んだ。これらはエサウの妻アダの子らである。 13 リウエルの子らは次のとおりである。すなわちナハテ、ゼラ、シャンマ、ミザであって、これらはエサウの妻バスマテの子らである。 14 ヂベオンの子アナの娘で、エサウの妻アホリバマの子らは次のとおりである。すなわち彼女はエウシ、ヤラム、コラをエサウに産んだ。 15 エサウの子らの中で、族長たる者は次のとおりである。すなわちエサウの長子エリパズの子らはテマンの族長、オマルの族長、ゼポの族長、ケナズの族長、 16 コラの族長、ガタムの族長、アマレクの族長である。これらはエリパズから出た族長で、エドムの地におった。これらはアダの子らである。 17 エサウの子リウエルの子らは次のとおりである。すなわちナハテの族長、ゼラの族長、シャンマの族長、ミザの族長。これらはリウエルから出た族長で、エドムの地におった。これらはエサウの妻バスマテの子らである。 18 エサウの妻アホリバマの子らは次のとおりである。すなわちエウシの族長、ヤラムの族長、コラの族長。これらはアナの娘で、エサウの妻アホリバマから出た族長である。 19 これらはエサウすなわちエドムの子らで、族長たる者である。 20 この地の住民ホリびとセイルの子らは次のとおりである。すなわちロタン、ショバル、ヂベオン、アナ、 21 デション、エゼル、デシャン。これらはセイルの子ホリびとから出た族長で、エドムの地におった。 22 ロタンの子らはホリ、ヘマムであり、ロタンの妹はテムナであった。 23 ショバルの子らは次のとおりである。すなわちアルワン、マナハテ、エバル、シポ、オナム。 24 ヂベオンの子らは次のとおりである。すなわちアヤとアナ。このアナは父ヂベオンのろばを飼っていた時、荒野で温泉を発見した者である。 25 アナの子らは次のとおりである。すなわちデションとアホリバマ。アホリバマはアナの娘である。 …
創世記 35
1 ときに神はヤコブに言われた、「あなたは立ってベテルに上り、そこに住んで、あなたがさきに兄エサウの顔を避けてのがれる時、あなたに現れた神に祭壇を造りなさい」。 2 ヤコブは、その家族および共にいるすべての者に言った、「あなたがたのうちにある異なる神々を捨て、身を清めて着物を着替えなさい。 3 われわれは立ってベテルに上り、その所でわたしの苦難の日にわたしにこたえ、かつわたしの行く道で共におられた神に祭壇を造ろう」。 4 そこで彼らは持っている異なる神々と、耳につけている耳輪をことごとくヤコブに与えたので、ヤコブはこれをシケムのほとりにあるテレビンの木の下に埋めた。 5 そして彼らは、いで立ったが、大いなる恐れが周囲の町々に起ったので、ヤコブの子らのあとを追う者はなかった。 6 こうしてヤコブは共にいたすべての人々と一緒にカナンの地にあるルズ、すなわちベテルにきた。 7 彼はそこに祭壇を築き、その所をエル・ベテルと名づけた。彼が兄の顔を避けてのがれる時、神がそこで彼に現れたからである。 8 時にリベカのうばデボラが死んで、ベテルのしもの、かしの木の下に葬られた。これによってその木の名をアロン・バクテと呼ばれた。 9 さてヤコブがパダンアラムから帰ってきた時、神は再び彼に現れて彼を祝福された。 10 神は彼に言われた、「あなたの名はヤコブである。しかしあなたの名をもはやヤコブと呼んではならない。あなたの名をイスラエルとしなさい」。こうして彼をイスラエルと名づけられた。 11 30 Gen.35.11 12 31 Gen.35.12 13 神は彼と語っておられたその場所から彼を離れてのぼられた。 14 そこでヤコブは神が自分と語られたその場所に、一本の石の柱を立て、その上に灌祭をささげ、また油を注いだ。 15 そしてヤコブは神が自分と語られたその場所をベテルと名づけた。 16 こうして彼らはベテルを立ったが、エフラタに行き着くまでに、なお隔たりのある所でラケルは産気づき、その産は重かった。 17 その難産に当って、産婆は彼女に言った、「心配することはありません。今度も男の子です」。 18 彼女は死にのぞみ、魂の去ろうとする時、子の名をベノニと呼んだ。しかし、父はこれをベニヤミンと名づけた。 19 ラケルは死んでエフラタ、すなわちベツレヘムの道に葬られた。 20 ヤコブはその墓に柱を立てた。これはラケルの墓の柱であって、今日に至っている。 21 イスラエルはまた、いで立ってミグダル・エダルの向こうに天幕を張った。 22 32 Gen.35.22 23 すなわちレアの子らはヤコブの長子ルベンとシメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ゼブルン。 24 …
創世記 34
1 レアがヤコブに産んだ娘デナはその地の女たちに会おうと出かけて行ったが、 2 その地のつかさ、ヒビびとハモルの子シケムが彼女を見て、引き入れ、これと寝てはずかしめた。 3 彼は深くヤコブの娘デナを慕い、この娘を愛して、ねんごろに娘に語った。 4 シケムは父ハモルに言った、「この娘をわたしの妻にめとってください」。 5 さてヤコブはシケムが、娘デナを汚したことを聞いたけれども、その子らが家畜を連れて野にいたので、彼らの帰るまで黙っていた。 6 シケムの父ハモルはヤコブと話し合おうと、ヤコブの所に出てきた。 7 ヤコブの子らは野から帰り、この事を聞いて、悲しみ、かつ非常に怒った。シケムがヤコブの娘と寝て、イスラエルに愚かなことをしたためで、こんなことは、してはならぬ事だからである。 8 ハモルは彼らと語って言った、「わたしの子シケムはあなたがたの娘を心に慕っています。どうか彼女を彼の妻にください。 9 あなたがたはわたしたちと婚姻し、あなたがたの娘をわたしたちに与え、わたしたちの娘をあなたがたにめとってください。 10 こうしてあなたがたとわたしたちとは一緒に住みましょう。地はあなたがたの前にあります。ここに住んで取引し、ここで財産を獲なさい」。 11 シケムはまたデナの父と兄弟たちとに言った、「あなたがたの前に恵みを得させてください。あなたがたがわたしに言われるものは、なんでもさしあげましょう。 12 たくさんの結納金と贈り物とをお求めになっても、あなたがたの言われるとおりさしあげます。ただこの娘はわたしの妻にください」。 13 しかし、ヤコブの子らはシケムが彼らの妹デナを汚したので、シケムとその父ハモルに偽って答え、 14 彼らに言った、「われわれは割礼を受けない者に妹をやる事はできません。それはわれわれの恥とするところですから。 15 ただ、こうなさればわれわれはあなたがたに同意します。もしあなたがたのうち男子がみな割礼を受けて、われわれのようになるなら、 16 われわれの娘をあなたがたに与え、あなたがたの娘をわれわれにめとりましょう。そしてわれわれはあなたがたと一緒に住んで一つの民となりましょう。 17 けれども、もしあなたがたがわれわれに聞かず、割礼を受けないなら、われわれは娘を連れて行きます」。 18 彼らの言葉がハモルとハモルの子シケムとの心にかなったので、 19 若者は、ためらわずにこの事をした。彼がヤコブの娘を愛したからである。また彼は父の家のうちで一番重んじられた者であった。 20 そこでハモルとその子シケムとは町の門に行き、町の人々に語って言った、 21 「この人々はわれわれと親しいから、この地に住まわせて、ここで取引をさせよう。地は広く、彼らをいれるにじゅうぶんである。そしてわれわれは彼らの娘を妻にめとり、われわれの娘を彼らに与えよう。 22 彼らが割礼を受けているように、もしわれわれのうちの男子が皆、割礼を受けるなら、ただこの事だけで、この人々はわれわれに同意し、われわれと一緒に住んで一つの民となるのだ。 23 そうすれば彼らの家畜と財産とすべての獣とは、われわれのものとなるではないか。ただわれわれが彼らに同意すれば、彼らはわれわれと一緒に住むであろう」。 24 そこで町の門に出入りする者はみなハモルとその子シケムとに聞き従って、町の門に出入りするすべての男子は割礼を受けた。 25 三日目になって彼らが痛みを覚えている時、ヤコブのふたりの子、すなわちデナの兄弟シメオンとレビとは、おのおのつるぎを取って、不意に町を襲い、男子をことごとく殺し、 …
創世記 33
1 さてヤコブは目をあげ、エサウが四百人を率いて来るのを見た。そこで彼は子供たちを分けてレアとラケルとふたりのつかえめとにわたし、 2 つかえめとその子供たちをまっ先に置き、レアとその子供たちを次に置き、ラケルとヨセフを最後に置いて、 3 みずから彼らの前に進み、七たび身を地にかがめて、兄に近づいた。 4 するとエサウは走ってきて迎え、彼を抱き、そのくびをかかえて口づけし、共に泣いた。 5 エサウは目をあげて女と子供たちを見て言った、「あなたと一緒にいるこれらの者はだれですか」。ヤコブは言った、「神がしもべに授けられた子供たちです」。 6 そこでつかえめたちはその子供たちと共に近寄ってお辞儀した。 7 レアもまたその子供たちと共に近寄ってお辞儀し、それからヨセフとラケルが近寄ってお辞儀した。 8 するとエサウは言った、「わたしが出会ったあのすべての群れはどうしたのですか」。ヤコブは言った、「わが主の前に恵みを得るためです」。 9 エサウは言った、「弟よ、わたしはじゅうぶんもっている。あなたの物はあなたのものにしなさい」。 10 ヤコブは言った、「いいえ、もしわたしがあなたの前に恵みを得るなら、どうか、わたしの手から贈り物を受けてください。あなたが喜んでわたしを迎えてくださるので、あなたの顔を見て、神の顔を見るように思います。 11 どうかわたしが持ってきた贈り物を受けてください。神がわたしを恵まれたので、わたしはじゅうぶんもっていますから」。こうして彼がしいたので、彼は受け取った。 12 そしてエサウは言った、「さあ、立って行こう。わたしが先に行く」。 13 ヤコブは彼に言った、「ごぞんじのように、子供たちは、かよわく、また乳を飲ませている羊や牛をわたしが世話をしています。もし一日でも歩かせ過ぎたら群れはみな死んでしまいます。 14 わが主よ、どうか、しもべの先においでください。わたしはわたしの前にいる家畜と子供たちの歩みに合わせて、ゆっくり歩いて行き、セイルでわが主と一緒になりましょう」。 15 エサウは言った、「それならわたしが連れている者どものうち幾人かをあなたのもとに残しましょう」。ヤコブは言った、「いいえ、それには及びません。わが主の前に恵みを得させてください」。 16 その日エサウはセイルへの帰途についた。 17 ヤコブは立ってスコテに行き、自分のために家を建て、また家畜のために小屋を造った。これによってその所の名はスコテと呼ばれている。 18 こうしてヤコブはパダンアラムからきて、無事カナンの地のシケムの町に着き、町の前に宿営した。 19 彼は天幕を張った野の一部をシケムの父ハモルの子らの手から百ケシタで買い取り、 20 そこに祭壇を建てて、これをエル・エロヘ・イスラエルと名づけた。
創世記 32
1 さて、ヤコブが旅路に進んだとき、神の使たちが彼に会った。 2 ヤコブは彼らを見て、「これは神の陣営です」と言って、その所の名をマハナイムと名づけた。 3 ヤコブはセイルの地、エドムの野に住む兄エサウのもとに、さきだって使者をつかわした。 4 すなわちそれに命じて言った、「あなたがたはわたしの主人エサウにこう言いなさい、『あなたのしもべヤコブはこう言いました。わたしはラバンのもとに寄留して今までとどまりました。 5 わたしは牛、ろば、羊、男女の奴隷を持っています。それでわが主に申し上げて、あなたの前に恵みを得ようと人をつかわしたのです』」。 6 使者はヤコブのもとに帰って言った、「わたしたちはあなたの兄エサウのもとへ行きました。彼もまたあなたを迎えようと四百人を率いてきます」。 7 そこでヤコブは大いに恐れ、苦しみ、共にいる民および羊、牛、らくだを二つの組に分けて、 8 言った、「たとい、エサウがきて、一つの組を撃っても、残りの組はのがれるであろう」。 9 ヤコブはまた言った、「父アブラハムの神、父イサクの神よ、かつてわたしに『おまえの国へ帰り、おまえの親族に行け。わたしはおまえを恵もう』と言われた主よ、 10 あなたがしもべに施されたすべての恵みとまことをわたしは受けるに足りない者です。わたしは、つえのほか何も持たないでこのヨルダンを渡りましたが、今は二つの組にもなりました。 11 どうぞ、兄エサウの手からわたしをお救いください。わたしは彼がきて、わたしを撃ち、母や子供たちにまで及ぶのを恐れます。 12 あなたは、かつて、『わたしは必ずおまえを恵み、おまえの子孫を海の砂の数えがたいほど多くしよう』と言われました」。 13 彼はその夜そこに宿り、持ち物のうちから兄エサウへの贈り物を選んだ。 14 すなわち雌やぎ二百、雄やぎ二十、雌羊二百、雄羊二十、 15 乳らくだ三十とその子、雌牛四十、雄牛十、雌ろば二十、雄ろば十。 16 彼はこれらをそれぞれの群れに分けて、しもべたちの手にわたし、しもべたちに言った、「あなたがたはわたしの先に進みなさい、そして群れと群れとの間には隔たりをおきなさい」。 17 また先頭の者に命じて言った、「もし、兄エサウがあなたに会って『だれのしもべで、どこへ行くのか。あなたの前にあるこれらのものはだれの物か』と尋ねたら、 18 『あなたのしもべヤコブの物で、わが主エサウにおくる贈り物です。彼もわたしたちのうしろにおります』と言いなさい」。 19 彼は第二の者にも、第三の者にも、また群れ群れについて行くすべての者にも命じて言った、「あなたがたがエサウに会うときは、同じように彼に告げて、 20 『あなたのしもべヤコブもわれわれのうしろにおります』と言いなさい」。ヤコブは、「わたしがさきに送る贈り物をもってまず彼をなだめ、それから、彼の顔を見よう。そうすれば、彼はわたしを迎えてくれるであろう」と思ったからである。 21 こうして贈り物は彼に先立って渡り、彼はその夜、宿営にやどった。 22 彼はその夜起きて、ふたりの妻とふたりのつかえめと十一人の子どもとを連れてヤボクの渡しをわたった。 23 すなわち彼らを導いて川を渡らせ、また彼の持ち物を渡らせた。 24 ヤコブはひとりあとに残ったが、ひとりの人が、夜明けまで彼と組打ちした。 25 ところでその人はヤコブに勝てないのを見て、ヤコブのもものつがいにさわったので、ヤコブのもものつがいが、その人と組打ちするあいだにはずれた。 …
創世記 31
1 さてヤコブはラバンの子らが、「ヤコブはわれわれの父の物をことごとく奪い、父の物によってあのすべての富を獲たのだ」と言っているのを聞いた。 2 またヤコブがラバンの顔を見るのに、それは自分に対して以前のようではなかった。 3 主はヤコブに言われた、「あなたの先祖の国へ帰り、親族のもとに行きなさい。わたしはあなたと共にいるであろう」。 4 そこでヤコブは人をやって、ラケルとレアとを、野にいる自分の群れのところに招き、 5 彼女らに言った、「わたしがあなたがたの父の顔を見るのに、わたしに対して以前のようではない。しかし、わたしの父の神はわたしと共におられる。 6 あなたがたが知っているように、わたしは力のかぎり、あなたがたの父に仕えてきた。 7 しかし、あなたがたの父はわたしを欺いて、十度もわたしの報酬を変えた。けれども神は彼がわたしに害を加えることをお許しにならなかった。 8 もし彼が、『ぶちのものはあなたの報酬だ』と言えば、群れは皆ぶちのものを産んだ。もし彼が、『しまのあるものはあなたの報酬だ』と言えば、群れは皆しまのあるものを産んだ。 9 こうして神はあなたがたの父の家畜をとってわたしに与えられた。 10 また群れが発情した時、わたしが夢に目をあげて見ると、群れの上に乗っている雄やぎは皆しまのあるもの、ぶちのもの、霜ふりのものであった。 11 その時、神の使が夢の中でわたしに言った、『ヤコブよ』。わたしは答えた、『ここにおります』。 12 神の使は言った、『目を上げて見てごらん。群れの上に乗っている雄やぎは皆しまのあるもの、ぶちのもの、霜ふりのものです。わたしはラバンがあなたにしたことをみな見ています。 13 わたしはベテルの神です。かつてあなたはあそこで柱に油を注いで、わたしに誓いを立てましたが、いま立ってこの地を出て、あなたの生れた国へ帰りなさい』」。 14 ラケルとレアは答えて言った、「わたしたちの父の家に、なおわたしたちの受くべき分、また嗣業がありましょうか。 15 わたしたちは父に他人のように思われているではありませんか。彼はわたしたちを売ったばかりでなく、わたしたちのその金をさえ使い果たしたのです。 16 神がわたしたちの父から取りあげられた富は、みなわたしたちとわたしたちの子どものものです。だから何事でも神があなたにお告げになった事をしてください」。 17 そこでヤコブは立って、子らと妻たちをらくだに乗せ、 18 またすべての家畜、すなわち彼がパダンアラムで獲た家畜と、すべての財産を携えて、カナンの地におる父イサクのもとへ赴いた。 19 その時ラバンは羊の毛を切るために出ていたので、ラケルは父の所有のテラピムを盗み出した。 20 またヤコブはアラムびとラバンを欺き、自分の逃げ去るのを彼に告げなかった。 21 こうして彼はすべての持ち物を携えて逃げ、立って川を渡り、ギレアデの山地へ向かった。 22 三日目になって、ヤコブの逃げ去ったことが、ラバンに聞えたので、 23 彼は一族を率いて、七日の間そのあとを追い、ギレアデの山地で追いついた。 24 しかし、神は夜の夢にアラムびとラバンに現れて言われた、「あなたは心してヤコブに、よしあしを言ってはなりません」。 25 ラバンはついにヤコブに追いついたが、ヤコブが山に天幕を張っていたので、ラバンも一族と共にギレアデの山に天幕を張った。 …
創世記 30
1 ラケルは自分がヤコブに子を産まないのを知った時、姉をねたんでヤコブに言った、「わたしに子どもをください。さもないと、わたしは死にます」。 2 ヤコブはラケルに向かい怒って言った、「あなたの胎に子どもをやどらせないのは神です。わたしが神に代ることができようか」。 3 ラケルは言った、「わたしのつかえめビルハがいます。彼女の所におはいりなさい。彼女が子を産んで、わたしのひざに置きます。そうすれば、わたしもまた彼女によって子を持つでしょう」。 4 ラケルはつかえめビルハを彼に与えて、妻とさせたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 5 ビルハは、みごもってヤコブに子を産んだ。 6 そこでラケルは、「神はわたしの訴えに答え、またわたしの声を聞いて、わたしに子を賜わった」と言って、名をダンと名づけた。 7 ラケルのつかえめビルハはまた、みごもって第二の子をヤコブに産んだ。 8 そこでラケルは、「わたしは激しい争いで、姉と争って勝った」と言って、名をナフタリと名づけた。 9 さてレアは自分が子を産むことのやんだのを見たとき、つかえめジルパを取り、妻としてヤコブに与えた。 10 レアのつかえめジルパはヤコブに子を産んだ。 11 そこでレアは、「幸運がきた」と言って、名をガドと名づけた。 12 レアのつかえめジルパは第二の子をヤコブに産んだ。 13 そこでレアは、「わたしは、しあわせです。娘たちはわたしをしあわせな者と言うでしょう」と言って、名をアセルと名づけた。 14 さてルベンは麦刈りの日に野に出て、野で恋なすびを見つけ、それを母レアのもとに持ってきた。ラケルはレアに言った、「あなたの子の恋なすびをどうぞわたしにください」。 15 レアはラケルに言った、「あなたがわたしの夫を取ったのは小さな事でしょうか。その上、あなたはまたわたしの子の恋なすびをも取ろうとするのですか」。ラケルは言った、「それではあなたの子の恋なすびに換えて、今夜彼をあなたと共に寝させましょう」。 16 夕方になって、ヤコブが野から帰ってきたので、レアは彼を出迎えて言った、「わたしの子の恋なすびをもって、わたしがあなたを雇ったのですから、あなたはわたしの所に、はいらなければなりません」。ヤコブはその夜レアと共に寝た。 17 神はレアの願いを聞かれたので、彼女はみごもって五番目の子をヤコブに産んだ。 18 そこでレアは、「わたしがつかえめを夫に与えたから、神がわたしにその価を賜わったのです」と言って、名をイッサカルと名づけた。 19 レアはまた、みごもって六番目の子をヤコブに産んだ。 20 そこでレアは、「神はわたしに良い賜物をたまわった。わたしは六人の子を夫に産んだから、今こそ彼はわたしと一緒に住むでしょう」と言って、その名をゼブルンと名づけた。 21 その後、彼女はひとりの娘を産んで、名をデナと名づけた。 22 次に神はラケルを心にとめられ、彼女の願いを聞き、その胎を開かれたので、 23 彼女は、みごもって男の子を産み、「神はわたしの恥をすすいでくださった」と言って、 24 名をヨセフと名づけ、「主がわたしに、なおひとりの子を加えられるように」と言った。 25 ラケルがヨセフを産んだ時、ヤコブはラバンに言った、「わたしを去らせて、わたしの故郷、わたしの国へ行かせてください。 …
創世記 29
1 ヤコブはその旅を続けて東の民の地へ行った。 2 見ると野に一つの井戸があって、そのかたわらに羊の三つの群れが伏していた。人々はその井戸から群れに水を飲ませるのであったが、井戸の口には大きな石があった。 3 群れが皆そこに集まると、人々は井戸の口から石をころがして羊に水を飲ませ、その石をまた井戸の口の元のところに返しておくのである。 4 ヤコブは人々に言った、「兄弟たちよ、あなたがたはどこからこられたのですか」。彼らは言った、「わたしたちはハランからです」。 5 ヤコブは彼らに言った、「あなたがたはナホルの子ラバンを知っていますか」。彼らは言った、「知っています」。 6 ヤコブはまた彼らに言った、「彼は無事ですか」。彼らは言った、「無事です。御覧なさい。彼の娘ラケルはいま羊と一緒にここへきます」。 7 ヤコブは言った、「日はまだ高いし、家畜を集める時でもない。あなたがたは羊に水を飲ませてから、また行って飼いなさい」。 8 彼らは言った、「わたしたちはそれはできないのです。群れがみな集まった上で、井戸の口から石をころがし、それから羊に水を飲ませるのです」。 9 ヤコブがなお彼らと語っている時に、ラケルは父の羊と一緒にきた。彼女は羊を飼っていたからである。 10 ヤコブは母の兄ラバンの娘ラケルと母の兄ラバンの羊とを見た。そしてヤコブは進み寄って井戸の口から石をころがし、母の兄ラバンの羊に水を飲ませた。 11 ヤコブはラケルに口づけし、声をあげて泣いた。 12 ヤコブはラケルに、自分がラケルの父のおいであり、リベカの子であることを告げたので、彼女は走って行って父に話した。 13 ラバンは妹の子ヤコブがきたという知らせを聞くとすぐ、走って行ってヤコブを迎え、これを抱いて口づけし、家に連れてきた。そこでヤコブはすべての事をラバンに話した。 14 ラバンは彼に言った、「あなたはほんとうにわたしの骨肉です」。ヤコブは一か月の間彼と共にいた。 15 時にラバンはヤコブに言った、「あなたはわたしのおいだからといって、ただでわたしのために働くこともないでしょう。どんな報酬を望みますか、わたしに言ってください」。 16 さてラバンにはふたりの娘があった。姉の名はレアといい、妹の名はラケルといった。 17 レアは目が弱かったが、ラケルは美しくて愛らしかった。 18 ヤコブはラケルを愛したので、「わたしは、あなたの妹娘ラケルのために七年あなたに仕えましょう」と言った。 19 ラバンは言った、「彼女を他人にやるよりもあなたにやる方がよい。わたしと一緒にいなさい」。 20 こうして、ヤコブは七年の間ラケルのために働いたが、彼女を愛したので、ただ数日のように思われた。 21 ヤコブはラバンに言った、「期日が満ちたから、わたしの妻を与えて、妻の所にはいらせてください」。 22 そこでラバンはその所の人々をみな集めて、ふるまいを設けた。 23 夕暮となったとき、娘レアをヤコブのもとに連れてきたので、ヤコブは彼女の所にはいった。 24 ラバンはまた自分のつかえめジルパを娘レアにつかえめとして与えた。 25 朝になって、見ると、それはレアであったので、ヤコブはラバンに言った、「あなたはどうしてこんな事をわたしにされたのですか。わたしはラケルのために働いたのではありませんか。どうしてあなたはわたしを欺いたのですか」。 …