ヨハネによる福音書 10

1 よくよくあなたがたに言っておく。羊の囲いにはいるのに、門からでなく、ほかの所からのりこえて来る者は、盗人であり、強盗である。 2 門からはいる者は、羊の羊飼である。 3 門番は彼のために門を開き、羊は彼の声を聞く。そして彼は自分の羊の名をよんで連れ出す。 4 自分の羊をみな出してしまうと、彼は羊の先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、彼について行くのである。 5 ほかの人には、ついて行かないで逃げ去る。その人の声を知らないからである」。 6 イエスは彼らにこの比喩を話されたが、彼らは自分たちにお話しになっているのが何のことだか、わからなかった。 7 そこで、イエスはまた言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。わたしは羊の門である。 8 わたしよりも前にきた人は、みな盗人であり、強盗である。羊は彼らに聞き従わなかった。 9 わたしは門である。わたしをとおってはいる者は救われ、また出入りし、牧草にありつくであろう。 10 盗人が来るのは、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。 11 わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。 12 羊飼ではなく、羊が自分のものでもない雇人は、おおかみが来るのを見ると、羊をすてて逃げ去る。そして、おおかみは羊を奪い、また追い散らす。 13 彼は雇人であって、羊のことを心にかけていないからである。 14 わたしはよい羊飼であって、わたしの羊を知り、わたしの羊はまた、わたしを知っている。 15 それはちょうど、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。そして、わたしは羊のために命を捨てるのである。 16 わたしにはまた、この囲いにいない他の羊がある。わたしは彼らをも導かねばならない。彼らも、わたしの声に聞き従うであろう。そして、ついに一つの群れ、ひとりの羊飼となるであろう。 17 父は、わたしが自分の命を捨てるから、わたしを愛して下さるのである。命を捨てるのは、それを再び得るためである。 18 だれかが、わたしからそれを取り去るのではない。わたしが、自分からそれを捨てるのである。わたしには、それを捨てる力があり、またそれを受ける力もある。これはわたしの父から授かった定めである」。 19 これらの言葉を語られたため、ユダヤ人の間にまたも分争が生じた。 20 そのうちの多くの者が言った、「彼は悪霊に取りつかれて、気が狂っている。どうして、あなたがたはその言うことを聞くのか」。 21 他の人々は言った、「それは悪霊に取りつかれた者の言葉ではない。悪霊は盲人の目をあけることができようか」。 22 そのころ、エルサレムで宮きよめの祭が行われた。時は冬であった。 23 イエスは、宮の中にあるソロモンの廊を歩いておられた。 24 するとユダヤ人たちが、イエスを取り囲んで言った、「いつまでわたしたちを不安のままにしておくのか。あなたがキリストであるなら、そうとはっきり言っていただきたい」。 25 イエスは彼らに答えられた、「わたしは話したのだが、あなたがたは信じようとしない。わたしの父の名によってしているすべてのわざが、わたしのことをあかししている。 …

ヨハネによる福音書 9

1 イエスが道をとおっておられるとき、生れつきの盲人を見られた。 2 弟子たちはイエスに尋ねて言った、「先生、この人が生れつき盲人なのは、だれが罪を犯したためですか。本人ですか、それともその両親ですか」。 3 イエスは答えられた、「本人が罪を犯したのでもなく、また、その両親が犯したのでもない。ただ神のみわざが、彼の上に現れるためである。 4 わたしたちは、わたしをつかわされたかたのわざを、昼の間にしなければならない。夜が来る。すると、だれも働けなくなる。 5 わたしは、この世にいる間は、世の光である」。 6 イエスはそう言って、地につばきをし、そのつばきで、どろをつくり、そのどろを盲人の目に塗って言われた、 7 「シロアム(つかわされた者、の意)の池に行って洗いなさい」。そこで彼は行って洗った。そして見えるようになって、帰って行った。 8 近所の人々や、彼がもと、こじきであったのを見知っていた人々が言った、「この人は、すわってこじきをしていた者ではないか」。 9 ある人々は「その人だ」と言い、他の人々は「いや、ただあの人に似ているだけだ」と言った。しかし、本人は「わたしがそれだ」と言った。 10 そこで人々は彼に言った、「では、おまえの目はどうしてあいたのか」。 11 彼は答えた、「イエスというかたが、どろをつくって、わたしの目に塗り、『シロアムに行って洗え』と言われました。それで、行って洗うと、見えるようになりました」。 12 人々は彼に言った、「その人はどこにいるのか」。彼は「知りません」と答えた。 13 人々は、もと盲人であったこの人を、パリサイ人たちのところにつれて行った。 14 イエスがどろをつくって彼の目をあけたのは、安息日であった。 15 パリサイ人たちもまた、「どうして見えるようになったのか」、と彼に尋ねた。彼は答えた、「あのかたがわたしの目にどろを塗り、わたしがそれを洗い、そして見えるようになりました」。 16 そこで、あるパリサイ人たちが言った、「その人は神からきた人ではない。安息日を守っていないのだから」。しかし、ほかの人々は言った、「罪のある人が、どうしてそのようなしるしを行うことができようか」。そして彼らの間に分争が生じた。 17 そこで彼らは、もう一度この盲人に聞いた、「おまえの目をあけてくれたその人を、どう思うか」。「預言者だと思います」と彼は言った。 18 ユダヤ人たちは、彼がもと盲人であったが見えるようになったことを、まだ信じなかった。ついに彼らは、目が見えるようになったこの人の両親を呼んで、 19 尋ねて言った、「これが、生れつき盲人であったと、おまえたちの言っているむすこか。それではどうして、いま目が見えるのか」。 20 両親は答えて言った、「これがわたしどものむすこであること、また生れつき盲人であったことは存じています。 21 しかし、どうしていま見えるようになったのか、それは知りません。また、だれがその目をあけて下さったのかも知りません。あれに聞いて下さい。あれはもうおとなですから、自分のことは自分で話せるでしょう」。 22 両親はユダヤ人たちを恐れていたので、こう答えたのである。それは、もしイエスをキリストと告白する者があれば、会堂から追い出すことに、ユダヤ人たちが既に決めていたからである。 23 彼の両親が「おとなですから、あれに聞いて下さい」と言ったのは、そのためであった。 24 そこで彼らは、盲人であった人をもう一度呼んで言った、「神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは、わたしたちにはわかっている」。 25 すると彼は言った、「あのかたが罪人であるかどうか、わたしは知りません。ただ一つのことだけ知っています。わたしは盲であったが、今は見えるということです」。 …

ヨハネによる福音書 8

1 イエスはオリブ山に行かれた。 2 朝早くまた宮にはいられると、人々が皆みもとに集まってきたので、イエスはすわって彼らを教えておられた。 3 すると、律法学者たちやパリサイ人たちが、姦淫をしている時につかまえられた女をひっぱってきて、中に立たせた上、イエスに言った、 4 「先生、この女は姦淫の場でつかまえられました。 5 モーセは律法の中で、こういう女を石で打ち殺せと命じましたが、あなたはどう思いますか」。 6 彼らがそう言ったのは、イエスをためして、訴える口実を得るためであった。しかし、イエスは身をかがめて、指で地面に何か書いておられた。 7 彼らが問い続けるので、イエスは身を起して彼らに言われた、「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの女に石を投げつけるがよい」。 8 そしてまた身をかがめて、地面に物を書きつづけられた。 9 これを聞くと、彼らは年寄から始めて、ひとりびとり出て行き、ついに、イエスだけになり、女は中にいたまま残された。 10 そこでイエスは身を起して女に言われた、「女よ、みんなはどこにいるか。あなたを罰する者はなかったのか」。 11 女は言った、「主よ、だれもございません」。イエスは言われた、「わたしもあなたを罰しない。お帰りなさい。今後はもう罪を犯さないように」。〕 12 イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。 13 するとパリサイ人たちがイエスに言った、「あなたは、自分のことをあかししている。あなたのあかしは真実ではない」。 14 イエスは彼らに答えて言われた、「たとい、わたしが自分のことをあかししても、わたしのあかしは真実である。それは、わたしがどこからきたのか、また、どこへ行くのかを知っているからである。しかし、あなたがたは、わたしがどこからきて、どこへ行くのかを知らない。 15 あなたがたは肉によって人をさばくが、わたしはだれもさばかない。 16 しかし、もしわたしがさばくとすれば、わたしのさばきは正しい。なぜなら、わたしはひとりではなく、わたしをつかわされたかたが、わたしと一緒だからである。 17 あなたがたの律法には、ふたりによる証言は真実だと、書いてある。 18 わたし自身のことをあかしするのは、わたしであるし、わたしをつかわされた父も、わたしのことをあかしして下さるのである」。 19 すると、彼らはイエスに言った、「あなたの父はどこにいるのか」。イエスは答えられた、「あなたがたは、わたしをもわたしの父をも知っていない。もし、あなたがたがわたしを知っていたなら、わたしの父をも知っていたであろう」。 20 イエスが宮の内で教えていた時、これらの言葉をさいせん箱のそばで語られたのであるが、イエスの時がまだきていなかったので、だれも捕える者がなかった。 21 さて、また彼らに言われた、「わたしは去って行く。あなたがたはわたしを捜し求めるであろう。そして自分の罪のうちに死ぬであろう。わたしの行く所には、あなたがたは来ることができない」。 22 そこでユダヤ人たちは言った、「わたしの行く所に、あなたがたは来ることができないと、言ったのは、あるいは自殺でもしようとするつもりか」。 23 イエスは彼らに言われた、「あなたがたは下から出た者だが、わたしは上からきた者である。あなたがたはこの世の者であるが、わたしはこの世の者ではない。 24 だからわたしは、あなたがたは自分の罪のうちに死ぬであろうと、言ったのである。もしわたしがそういう者であることをあなたがたが信じなければ、罪のうちに死ぬことになるからである」。 25 そこで彼らはイエスに言った、「あなたは、いったい、どういうかたですか」。イエスは彼らに言われた、「わたしがどういう者であるかは、初めからあなたがたに言っているではないか。 …

ヨハネによる福音書 7

1 そののち、イエスはガリラヤを巡回しておられた。ユダヤ人たちが自分を殺そうとしていたので、ユダヤを巡回しようとはされなかった。 2 時に、ユダヤ人の仮庵の祭が近づいていた。 3 そこで、イエスの兄弟たちがイエスに言った、「あなたがしておられるわざを弟子たちにも見せるために、ここを去りユダヤに行ってはいかがです。 4 自分を公けにあらわそうと思っている人で、隠れて仕事をするものはありません。あなたがこれらのことをするからには、自分をはっきりと世にあらわしなさい」。 5 こう言ったのは、兄弟たちもイエスを信じていなかったからである。 6 そこでイエスは彼らに言われた、「わたしの時はまだきていない。しかし、あなたがたの時はいつも備わっている。 7 世はあなたがたを憎み得ないが、わたしを憎んでいる。わたしが世のおこないの悪いことを、あかししているからである。 8 あなたがたこそ祭に行きなさい。わたしはこの祭には行かない。わたしの時はまだ満ちていないから」。 9 彼らにこう言って、イエスはガリラヤにとどまっておられた。 10 しかし、兄弟たちが祭に行ったあとで、イエスも人目にたたぬように、ひそかに行かれた。 11 ユダヤ人らは祭の時に、「あの人はどこにいるのか」と言って、イエスを捜していた。 12 群衆の中に、イエスについていろいろとうわさが立った。ある人々は、「あれはよい人だ」と言い、他の人々は、「いや、あれは群衆を惑わしている」と言った。 13 しかし、ユダヤ人らを恐れて、イエスのことを公然と口にする者はいなかった。 14 祭も半ばになってから、イエスは宮に上って教え始められた。 15 すると、ユダヤ人たちは驚いて言った、「この人は学問をしたこともないのに、どうして律法の知識をもっているのだろう」。 16 そこでイエスは彼らに答えて言われた、「わたしの教はわたし自身の教ではなく、わたしをつかわされたかたの教である。 17 神のみこころを行おうと思う者であれば、だれでも、わたしの語っているこの教が神からのものか、それとも、わたし自身から出たものか、わかるであろう。 18 自分から出たことを語る者は、自分の栄光を求めるが、自分をつかわされたかたの栄光を求める者は真実であって、その人の内には偽りがない。 19 モーセはあなたがたに律法を与えたではないか。それだのに、あなたがたのうちには、その律法を行う者がひとりもない。あなたがたは、なぜわたしを殺そうと思っているのか」。 20 群衆は答えた、「あなたは悪霊に取りつかれている。だれがあなたを殺そうと思っているものか」。 21 イエスは彼らに答えて言われた、「わたしが一つのわざをしたところ、あなたがたは皆それを見て驚いている。 22 モーセはあなたがたに割礼を命じたので、(これは、実は、モーセから始まったのではなく、先祖たちから始まったものである)あなたがたは安息日にも人に割礼を施している。 23 もし、モーセの律法が破られないように、安息日であっても割礼を受けるのなら、安息日に人の全身を丈夫にしてやったからといって、どうして、そんなにおこるのか。 24 うわべで人をさばかないで、正しいさばきをするがよい」。 25 さて、エルサレムのある人たちが言った、「この人は人々が殺そうと思っている者ではないか。 …

ヨハネによる福音書 6

1 そののち、イエスはガリラヤの海、すなわち、テベリヤ湖の向こう岸へ渡られた。 2 すると、大ぜいの群衆がイエスについてきた。病人たちになさっていたしるしを見たからである。 3 イエスは山に登って、弟子たちと一緒にそこで座につかれた。 4 時に、ユダヤ人の祭である過越が間近になっていた。 5 イエスは目をあげ、大ぜいの群衆が自分の方に集まって来るのを見て、ピリポに言われた、「どこからパンを買ってきて、この人々に食べさせようか」。 6 これはピリポをためそうとして言われたのであって、ご自分ではしようとすることを、よくご承知であった。 7 すると、ピリポはイエスに答えた、「二百デナリのパンがあっても、めいめいが少しずついただくにも足りますまい」。 8 弟子のひとり、シモン・ペテロの兄弟アンデレがイエスに言った、 9 「ここに、大麦のパン五つと、さかな二ひきとを持っている子供がいます。しかし、こんなに大ぜいの人では、それが何になりましょう」。 10 イエスは「人々をすわらせなさい」と言われた。その場所には草が多かった。そこにすわった男の数は五千人ほどであった。 11 そこで、イエスはパンを取り、感謝してから、すわっている人々に分け与え、また、さかなをも同様にして、彼らの望むだけ分け与えられた。 12 人々がじゅうぶんに食べたのち、イエスは弟子たちに言われた、「少しでもむだにならないように、パンくずのあまりを集めなさい」。 13 そこで彼らが集めると、五つの大麦のパンを食べて残ったパンくずは、十二のかごにいっぱいになった。 14 人々はイエスのなさったこのしるしを見て、「ほんとうに、この人こそ世にきたるべき預言者である」と言った。 15 イエスは人々がきて、自分をとらえて王にしようとしていると知って、ただひとり、また山に退かれた。 16 夕方になったとき、弟子たちは海べに下り、 17 舟に乗って海を渡り、向こう岸のカペナウムに行きかけた。すでに暗くなっていたのに、イエスはまだ彼らのところにおいでにならなかった。 18 その上、強い風が吹いてきて、海は荒れ出した。 19 四、五十丁こぎ出したとき、イエスが海の上を歩いて舟に近づいてこられるのを見て、彼らは恐れた。 20 すると、イエスは彼らに言われた、「わたしだ、恐れることはない」。 21 そこで、彼らは喜んでイエスを舟に迎えようとした。すると舟は、すぐ、彼らが行こうとしていた地に着いた。 22 その翌日、海の向こう岸に立っていた群衆は、そこに小舟が一そうしかなく、またイエスは弟子たちと一緒に小舟にお乗りにならず、ただ弟子たちだけが船出したのを見た。 23 しかし、数そうの小舟がテベリヤからきて、主が感謝されたのちパンを人々に食べさせた場所に近づいた。 24 群衆は、イエスも弟子たちもそこにいないと知って、それらの小舟に乗り、イエスをたずねてカペナウムに行った。 25 そして、海の向こう岸でイエスに出会ったので言った、「先生、いつ、ここにおいでになったのですか」。 …

ヨハネによる福音書 5

1 こののち、ユダヤ人の祭があったので、イエスはエルサレムに上られた。 2 エルサレムにある羊の門のそばに、ヘブル語でベテスダと呼ばれる池があった。そこには五つの廊があった。 3 その廊の中には、病人、盲人、足なえ、やせ衰えた者などが、大ぜいからだを横たえていた。〔彼らは水の動くのを待っていたのである。 4 それは、時々、主の御使がこの池に降りてきて水を動かすことがあるが、水が動いた時まっ先にはいる者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。〕 5 さて、そこに三十八年のあいだ、病気に悩んでいる人があった。 6 イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。 7 この病人はイエスに答えた、「主よ、水が動く時に、わたしを池の中に入れてくれる人がいません。わたしがはいりかけると、ほかの人が先に降りて行くのです」。 8 イエスは彼に言われた、「起きて、あなたの床を取りあげ、そして歩きなさい」。 9 48 John.5.9 10 そこでユダヤ人たちは、そのいやされた人に言った、「きょうは安息日だ。床を取りあげるのは、よろしくない」。 11 彼は答えた、「わたしをなおして下さったかたが、床を取りあげて歩けと、わたしに言われました」。 12 彼らは尋ねた、「取りあげて歩けと言った人は、だれか」。 13 しかし、このいやされた人は、それがだれであるか知らなかった。群衆がその場にいたので、イエスはそっと出て行かれたからである。 14 そののち、イエスは宮でその人に出会ったので、彼に言われた、「ごらん、あなたはよくなった。もう罪を犯してはいけない。何かもっと悪いことが、あなたの身に起るかも知れないから」。 15 彼は出て行って、自分をいやしたのはイエスであったと、ユダヤ人たちに告げた。 16 そのためユダヤ人たちは、安息日にこのようなことをしたと言って、イエスを責めた。 17 そこで、イエスは彼らに答えられた、「わたしの父は今に至るまで働いておられる。わたしも働くのである」。 18 このためにユダヤ人たちは、ますますイエスを殺そうと計るようになった。それは、イエスが安息日を破られたばかりではなく、神を自分の父と呼んで、自分を神と等しいものとされたからである。 19 さて、イエスは彼らに答えて言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。子は父のなさることを見てする以外に、自分からは何事もすることができない。父のなさることであればすべて、子もそのとおりにするのである。 20 なぜなら、父は子を愛して、みずからなさることは、すべて子にお示しになるからである。そして、それよりもなお大きなわざを、お示しになるであろう。あなたがたが、それによって不思議に思うためである。 21 すなわち、父が死人を起して命をお与えになるように、子もまた、そのこころにかなう人々に命を与えるであろう。 22 父はだれをもさばかない。さばきのことはすべて、子にゆだねられたからである。 23 それは、すべての人が父を敬うと同様に、子を敬うためである。子を敬わない者は、子をつかわされた父をも敬わない。 24 よくよくあなたがたに言っておく。わたしの言葉を聞いて、わたしをつかわされたかたを信じる者は、永遠の命を受け、またさばかれることがなく、死から命に移っているのである。 25 …

ヨハネによる福音書 4

1 イエスが、ヨハネよりも多く弟子をつくり、またバプテスマを授けておられるということを、パリサイ人たちが聞き、それを主が知られたとき、 2 (しかし、イエスみずからが、バプテスマをお授けになったのではなく、その弟子たちであった) 3 ユダヤを去って、またガリラヤへ行かれた。 4 しかし、イエスはサマリヤを通過しなければならなかった。 5 そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、 6 そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。 7 ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。 8 弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。 9 すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。 10 イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。 11 女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。 12 あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。 13 イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。 14 しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。 15 女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。 16 イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。 17 女は答えて言った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。 18 あなたには五人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。 19 女はイエスに言った、「主よ、わたしはあなたを預言者と見ます。 20 わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。 21 イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。 22 あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。 23 しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。 24 神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。 25 女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。 …

ヨハネによる福音書 3

1 パリサイ人のひとりで、その名をニコデモというユダヤ人の指導者があった。 2 この人が夜イエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちはあなたが神からこられた教師であることを知っています。神がご一緒でないなら、あなたがなさっておられるようなしるしは、だれにもできはしません」。 3 イエスは答えて言われた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも新しく生れなければ、神の国を見ることはできない」。 4 ニコデモは言った、「人は年をとってから生れることが、どうしてできますか。もう一度、母の胎にはいって生れることができましょうか」。 5 イエスは答えられた、「よくよくあなたに言っておく。だれでも、水と霊とから生れなければ、神の国にはいることはできない。 6 肉から生れる者は肉であり、霊から生れる者は霊である。 7 あなたがたは新しく生れなければならないと、わたしが言ったからとて、不思議に思うには及ばない。 8 風は思いのままに吹く。あなたはその音を聞くが、それがどこからきて、どこへ行くかは知らない。霊から生れる者もみな、それと同じである」。 9 ニコデモはイエスに答えて言った、「どうして、そんなことがあり得ましょうか」。 10 イエスは彼に答えて言われた、「あなたはイスラエルの教師でありながら、これぐらいのことがわからないのか。 11 よくよく言っておく。わたしたちは自分の知っていることを語り、また自分の見たことをあかししているのに、あなたがたはわたしたちのあかしを受けいれない。 12 わたしが地上のことを語っているのに、あなたがたが信じないならば、天上のことを語った場合、どうしてそれを信じるだろうか。 13 天から下ってきた者、すなわち人の子のほかには、だれも天に上った者はない。 14 そして、ちょうどモーセが荒野でへびを上げたように、人の子もまた上げられなければならない。 15 それは彼を信じる者が、すべて永遠の命を得るためである」。 16 神はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである。 17 神が御子を世につかわされたのは、世をさばくためではなく、御子によって、この世が救われるためである。 18 彼を信じる者は、さばかれない。信じない者は、すでにさばかれている。神のひとり子の名を信じることをしないからである。 19 そのさばきというのは、光がこの世にきたのに、人々はそのおこないが悪いために、光よりもやみの方を愛したことである。 20 悪を行っている者はみな光を憎む。そして、そのおこないが明るみに出されるのを恐れて、光にこようとはしない。 21 しかし、真理を行っている者は光に来る。その人のおこないの、神にあってなされたということが、明らかにされるためである。 22 こののち、イエスは弟子たちとユダヤの地に行き、彼らと一緒にそこに滞在して、バプテスマを授けておられた。 23 ヨハネもサリムに近いアイノンで、バプテスマを授けていた。そこには水がたくさんあったからである。人々がぞくぞくとやってきてバプテスマを受けていた。 24 そのとき、ヨハネはまだ獄に入れられてはいなかった。 25 ところが、ヨハネの弟子たちとひとりのユダヤ人との間に、きよめのことで争論が起った。 …

ヨハネによる福音書 2

1 三日目にガリラヤのカナに婚礼があって、イエスの母がそこにいた。 2 イエスも弟子たちも、その婚礼に招かれた。 3 ぶどう酒がなくなったので、母はイエスに言った、「ぶどう酒がなくなってしまいました」。 4 イエスは母に言われた、「婦人よ、あなたは、わたしと、なんの係わりがありますか。わたしの時は、まだきていません」。 5 母は僕たちに言った、「このかたが、あなたがたに言いつけることは、なんでもして下さい」。 6 そこには、ユダヤ人のきよめのならわしに従って、それぞれ四、五斗もはいる石の水がめが、六つ置いてあった。 7 イエスは彼らに「かめに水をいっぱい入れなさい」と言われたので、彼らは口のところまでいっぱいに入れた。 8 そこで彼らに言われた、「さあ、くんで、料理がしらのところに持って行きなさい」。すると、彼らは持って行った。 9 料理がしらは、ぶどう酒になった水をなめてみたが、それがどこからきたのか知らなかったので、(水をくんだ僕たちは知っていた)花婿を呼んで 10 言った、「どんな人でも、初めによいぶどう酒を出して、酔いがまわったころにわるいのを出すものだ。それだのに、あなたはよいぶどう酒を今までとっておかれました」。 11 イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行い、その栄光を現された。そして弟子たちはイエスを信じた。 12 そののち、イエスは、その母、兄弟たち、弟子たちと一緒に、カペナウムに下って、幾日かそこにとどまられた。 13 さて、ユダヤ人の過越の祭が近づいたので、イエスはエルサレムに上られた。 14 そして牛、羊、はとを売る者や両替する者などが宮の庭にすわり込んでいるのをごらんになって、 15 なわでむちを造り、羊も牛もみな宮から追いだし、両替人の金を散らし、その台をひっくりかえし、 16 はとを売る人々には「これらのものを持って、ここから出て行け。わたしの父の家を商売の家とするな」と言われた。 17 弟子たちは、「あなたの家を思う熱心が、わたしを食いつくすであろう」と書いてあることを思い出した。 18 そこで、ユダヤ人はイエスに言った、「こんなことをするからには、どんなしるしをわたしたちに見せてくれますか」。 19 イエスは彼らに答えて言われた、「この神殿をこわしたら、わたしは三日のうちに、それを起すであろう」。 20 そこで、ユダヤ人たちは言った、「この神殿を建てるのには、四十六年もかかっています。それだのに、あなたは三日のうちに、それを建てるのですか」。 21 イエスは自分のからだである神殿のことを言われたのである。 22 それで、イエスが死人の中からよみがえったとき、弟子たちはイエスがこう言われたことを思い出して、聖書とイエスのこの言葉とを信じた。 23 過越の祭の間、イエスがエルサレムに滞在しておられたとき、多くの人々は、その行われたしるしを見て、イエスの名を信じた。 24 しかしイエスご自身は、彼らに自分をお任せにならなかった。それは、すべての人を知っておられ、 25 また人についてあかしする者を、必要とされなかったからである。それは、ご自身人の心の中にあることを知っておられたからである。

ヨハネによる福音書 1

1 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。 2 この言は初めに神と共にあった。 3 すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。 4 この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。 5 光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。 6 ここにひとりの人があって、神からつかわされていた。その名をヨハネと言った。 7 この人はあかしのためにきた。光についてあかしをし、彼によってすべての人が信じるためである。 8 彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。 9 すべての人を照すまことの光があって、世にきた。 10 彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。 11 彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。 12 しかし、彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。 13 それらの人は、血すじによらず、肉の欲によらず、また、人の欲にもよらず、ただ神によって生れたのである。 14 そして言は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た。それは父のひとり子としての栄光であって、めぐみとまこととに満ちていた。 15 ヨハネは彼についてあかしをし、叫んで言った、「『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである」。 16 わたしたちすべての者は、その満ち満ちているものの中から受けて、めぐみにめぐみを加えられた。 17 律法はモーセをとおして与えられ、めぐみとまこととは、イエス・キリストをとおしてきたのである。 18 神を見た者はまだひとりもいない。ただ父のふところにいるひとり子なる神だけが、神をあらわしたのである。 19 さて、ユダヤ人たちが、エルサレムから祭司たちやレビ人たちをヨハネのもとにつかわして、「あなたはどなたですか」と問わせたが、その時ヨハネが立てたあかしは、こうであった。 20 すなわち、彼は告白して否まず、「わたしはキリストではない」と告白した。 21 そこで、彼らは問うた、「それでは、どなたなのですか、あなたはエリヤですか」。彼は「いや、そうではない」と言った。「では、あの預言者ですか」。彼は「いいえ」と答えた。 22 そこで、彼らは言った、「あなたはどなたですか。わたしたちをつかわした人々に、答を持って行けるようにしていただきたい。あなた自身をだれだと考えるのですか」。 23 彼は言った、「わたしは、預言者イザヤが言ったように、『主の道をまっすぐにせよと荒野で呼ばわる者の声』である」。 24 つかわされた人たちは、パリサイ人であった。 25 彼らはヨハネに問うて言った、「では、あなたがキリストでもエリヤでもまたあの預言者でもないのなら、なぜバプテスマを授けるのですか」。 …