サムエル記上 22

1 こうしてダビデはその所を去り、アドラムのほら穴へのがれた。彼の兄弟たちと父の家の者は皆、これを聞き、その所に下って彼のもとにきた。 2 また、しえたげられている人々、負債のある人々、心に不満のある人々も皆、彼のもとに集まってきて、彼はその長となった。おおよそ四百人の人々が彼と共にあった。 3 ダビデはそこからモアブのミヅパへ行き、モアブの王に言った、「神がわたしのためにどんなことをされるかわかるまで、どうぞわたしの父母をあなたの所におらせてください」。 4 そして彼はモアブの王に彼らを託したので、彼らはダビデが要害におる間、王の所におった。 5 さて、預言者ガドはダビデに言った、「要害にとどまっていないで、去ってユダの地へ行きなさい」。そこでダビデは去って、ハレテの森へ行った。 6 サウルは、ダビデおよび彼と共にいる人々が見つかったということを聞いた。サウルはギベアで、やりを手にもって、丘のぎょりゅうの木の下にすわっており、家来たちはみなそのまわりに立っていた。 7 サウルはまわりに立っている家来たちに言った、「あなたがたベニヤミンびとは聞きなさい。エッサイの子もまた、あなたがたおのおのに畑やぶどう畑を与え、おのおのを千人の長、百人の長にするであろうか。 8 あなたがたは皆共にはかってわたしに敵した。わたしの子がエッサイの子と契約を結んでも、それをわたしに告げるものはなく、またあなたがたのうち、ひとりもわたしのために憂えず、きょうのように、わたしの子がわたしのしもべをそそのかしてわたしに逆らわせ、道で彼がわたしを待ち伏せするようになっても、わたしに告げる者はない」。 9 その時エドムびとドエグは、サウルの家来たちのそばに立っていたが、答えて言った、「わたしはエッサイの子がノブにいるアヒトブの子アヒメレクの所にきたのを見ました。 10 アヒメレクは彼のために主に問い、また彼に食物を与え、ペリシテびとゴリアテのつるぎを与えました」。 11 そこで王は人をつかわして、アヒトブの子祭司アヒメレクとその父の家のすべての者、すなわちノブの祭司たちを召したので、みな王の所にきた。 12 サウルは言った、「アヒトブの子よ、聞きなさい」。彼は答えた、「わが主よ、わたしはここにおります」。 13 サウルは彼に言った、「どうしてあなたはエッサイの子と共にはかってわたしに敵し、彼にパンとつるぎを与え、彼のために神に問い、きょうのように彼をわたしに逆らって立たせ、道で待ち伏せさせるのか」。 14 アヒメレクは王に答えて言った、「あなたの家来のうち、ダビデのように忠義な者がほかにありますか。彼は王の娘婿であり、近衛兵の長であって、あなたの家で尊ばれる人ではありませんか。 15 彼のために神に問うたのは、きょう初めてでしょうか。いいえ、決してそうではありません。王よ、どうぞ、しもべと父の全家に罪を負わせないでください。しもべは、これについては、事の大小を問わず、何をも知らなかったのです」。 16 王は言った、「アヒメレクよ、あなたは必ず殺されなければならない。あなたの父の全家も同じである」。 17 そして王はまわりに立っている近衛の兵に言った、「身をひるがえして、主の祭司たちを殺しなさい。彼らもダビデと協力していて、ダビデの逃げたのを知りながら、それをわたしに告げなかったからです」。ところが王の家来たちは主の祭司たちを殺すために手を下そうとはしなかった。 18 そこで王はドエグに言った、「あなたが身をひるがえして、祭司たちを殺しなさい」。エドムびとドエグは身をひるがえして祭司たちを撃ち、その日亜麻布のエポデを身につけている者八十五人を殺した。 19 彼はまた、つるぎをもって祭司の町ノブを撃ち、つるぎをもって男、女、幼な子、乳飲み子、牛、ろば、羊を殺した。 20 しかしアヒトブの子アヒメレクの子たちのひとりで、名をアビヤタルという人は、のがれてダビデの所に走った。 21 そしてアビヤタルは、サウルが主の祭司たちを殺したことをダビデに告げたので、 22 ダビデはアビヤタルに言った、「あの日、エドムびとドエグがあそこにいたので、わたしは彼がきっとサウルに告げるであろうと思った。わたしがあなたの父の家の人々の命を失わせるもととなったのです。 23 あなたはわたしの所にとどまってください。恐れることはありません。あなたの命を求める者は、わたしの命をも求めているのです。わたしの所におられるならば、あなたは安全でしょう」。

サムエル記上 23

1 さて人々はダビデに告げて言った、「ペリシテびとがケイラを攻めて、打ち場の穀物をかすめています」。 2 そこでダビデは主に問うて言った、「わたしが行って、このペリシテびとを撃ちましょうか」。主はダビデに言われた、「行ってペリシテびとを撃ち、ケイラを救いなさい」。 3 しかしダビデの従者たちは彼に言った、「われわれは、ユダのここにおってさえ、恐れているのに、ましてケイラへ行って、ペリシテびとの軍に当ることができましょうか」。 4 ダビデが重ねて主に問うたところ、主は彼に答えて言われた、「立って、ケイラへ下りなさい。わたしはペリシテびとをあなたの手に渡します」。 5 ダビデとその従者たちはケイラへ行って、ペリシテびとと戦い、彼らの家畜を奪いとり、彼らを多く撃ち殺した。こうしてダビデはケイラの住民を救った。 6 アヒメレクの子アビヤタルは、ケイラにいるダビデのもとにのがれてきた時、手にエポデをもって下ってきた。 7 さてダビデのケイラにきたことがサウルに聞えたので、サウルは言った、「神はわたしの手に彼をわたされた。彼は門と貫の木のある町にはいって、自分で身を閉じこめたからである」。 8 そこでサウルはすべての民を戦いに呼び集めて、ケイラに下り、ダビデとその従者を攻め囲もうとした。 9 ダビデはサウルが自分に害を加えようとしているのを知って、祭司アビヤタルに言った、「エポデを持ってきてください」。 10 そしてダビデは言った、「イスラエルの神、主よ、しもべはサウルがケイラにきて、わたしのために、この町を滅ぼそうとしていることを確かに聞きました。 11 ケイラの人々はわたしを彼の手に渡すでしょうか。しもべの聞いたように、サウルは下ってくるでしょうか。イスラエルの神、主よ、どうぞ、しもべに告げてください」。主は言われた、「彼は下って来る」。 12 ダビデは言った、「ケイラの人々はわたしと従者たちをサウルの手にわたすでしょうか」。主は言われた、「彼らはあなたがたを渡すであろう」。 13 そこでダビデとその六百人ほどの従者たちは立って、ケイラを去り、いずこともなくさまよった。ダビデのケイラから逃げ去ったことがサウルに聞えたので、サウルは戦いに出ることをやめた。 14 ダビデは荒野にある要害におり、またジフの荒野の山地におった。サウルは日々に彼を尋ね求めたが、神は彼をその手に渡されなかった。 15 さてダビデはサウルが自分の命を求めて出てきたので恐れた。その時ダビデはジフの荒野のホレシにいたが、 16 サウルの子ヨナタンは立って、ホレシにいるダビデのもとに行き、神によって彼を力づけた。 17 そしてヨナタンは彼に言った、「恐れるにはおよびません。父サウルの手はあなたに届かないでしょう。あなたはイスラエルの王となり、わたしはあなたの次となるでしょう。このことは父サウルも知っています」。 18 こうして彼らふたりは主の前で契約を結び、ダビデはホレシにとどまり、ヨナタンは家に帰った。 19 その時ジフびとはギベアにいるサウルのもとに上って行き、そして言った、「ダビデは、荒野の南にあるハキラの丘の上のホレシの要害に隠れて、われわれと共にいるではありませんか。 20 それゆえ王よ、あなたが下って行こうという望みのとおり、いま下ってきてください。われわれは彼を王の手に渡します」。 21 サウルは言った、「あなたがたはわたしに同情を寄せてくれたのです。どうぞ主があなたがたを祝福されるように。 22 あなたがたは行って、なお確かめてください。彼のよく行く所とだれがそこで彼を見たかを見きわめてください。人の語るところによると、彼はひじょうに悪賢いそうだ。 23 それで、あなたがたは彼が隠れる隠れ場所をみな見きわめ、確かな知らせをもってわたしの所に帰ってきなさい。その時わたしはあなたがたと共に行きます。もし彼がこの地にいるならば、わたしはユダの氏族をあまねく尋ねて彼を捜しだします」。 24 30 1Sam.23.24 25 …

サムエル記上 24

1 サウルがペリシテびとを追うことをやめて帰ってきたとき、人々は彼に告げて言った、「ダビデはエンゲデの野にいます」。 2 そこでサウルは、全イスラエルから選んだ三千の人を率い、ダビデとその従者たちとを捜すため、「やぎの岩」の前へ出かけた。 3 途中、羊のおりの所にきたが、そこに、ほら穴があり、サウルは足をおおうために、その中にはいった。その時、ダビデとその従者たちは、ほら穴の奥にいた。 4 ダビデの従者たちは彼に言った、「主があなたに告げて、『わたしはあなたの敵をあなたの手に渡す。あなたは自分の良いと思うことを彼にすることができる』と言われた日がきたのです」。そこでダビデは立って、ひそかに、サウルの上着のすそを切った。 5 しかし後になって、ダビデはサウルの上着のすそを切ったことに、心の責めを感じた。 6 ダビデは従者たちに言った、「主が油を注がれたわが君に、わたしがこの事をするのを主は禁じられる。彼は主が油を注がれた者であるから、彼に敵して、わたしの手をのべるのは良くない」。 7 ダビデはこれらの言葉をもって従者たちを差し止め、サウルを撃つことを許さなかった。サウルは立って、ほら穴を去り、道を進んだ。 8 ダビデもまた、そのあとから立ち、ほら穴を出て、サウルのうしろから呼ばわって、「わが君、王よ」と言った。サウルがうしろをふり向いた時、ダビデは地にひれ伏して拝した。 9 そしてダビデはサウルに言った、「どうして、あなたは『ダビデがあなたを害しようとしている』という人々の言葉を聞かれるのですか。 10 あなたは、この日、自分の目で、主があなたをきょう、ほら穴の中でわたしの手に渡されたのをごらんになりました。人々はわたしにあなたを殺すことを勧めたのですが、わたしは殺しませんでした。『わが君は主が油を注がれた方であるから、これに敵して手をのべることはしない』とわたしは言いました。 11 わが父よ、ごらんなさい。あなたの上着のすそは、わたしの手にあります。わたしがあなたの上着のすそを切り、しかも、あなたを殺さなかったことによって、あなたは、わたしの手に悪も、とがもないことを見て知られるでしょう。あなたはわたしの命を取ろうと、ねらっておられますが、わたしはあなたに対して罪をおかしたことはないのです。 12 どうぞ主がわたしとあなたの間をさばかれますように。また主がわたしのために、あなたに報いられますように。しかし、わたしはあなたに手をくだすことをしないでしょう。 13 昔から、ことわざに言っているように、『悪は悪人から出る』。しかし、わたしはあなたに手をくだすことをしないでしょう。 14 イスラエルの王は、だれを追って出てこられたのですか。あなたは、だれを追っておられるのですか。死んだ犬を追っておられるのです。一匹の蚤を追っておられるのです。 15 どうぞ主がさばきびととなって、わたしとあなたの間をさばき、かつ見て、わたしの訴えを聞き、わたしをあなたの手から救い出してくださるように」。 16 ダビデがこれらの言葉をサウルに語り終ったとき、サウルは言った、「わが子ダビデよ、これは、あなたの声であるか」。そしてサウルは声をあげて泣いた。 17 サウルはまたダビデに言った、「あなたはわたしよりも正しい。わたしがあなたに悪を報いたのに、あなたはわたしに善を報いる。 18 きょう、あなたはいかに良くわたしをあつかったかを明らかにしました。すなわち主がわたしをあなたの手にわたされたのに、あなたはわたしを殺さなかったのです。 19 人は敵に会ったとき、敵を無事に去らせるでしょうか。あなたが、きょう、わたしにした事のゆえに、どうぞ主があなたに良い報いを与えられるように。 20 今わたしは、あなたがかならず王となることを知りました。またイスラエルの王国が、あなたの手によって堅く立つことを知りました。 21 それゆえ、あなたはわたしのあとに、わたしの子孫を断たず、またわたしの父の家から、わたしの名を滅ぼし去らないと、いま主をさして、わたしに誓ってください」。 22 そこでダビデはサウルに、そのように誓った。そしてサウルは家に帰り、ダビデとその従者たちは要害にのぼって行った。

サムエル記上 25

1 45 1Sam.25.1 2 マオンに、ひとりの人があって、カルメルにその所有があり、ひじょうに裕福で、羊三千頭、やぎ一千頭を持っていた。彼はカルメルで羊の毛を切っていた。 3 その人の名はナバルといい、妻の名はアビガイルといった。アビガイルは賢くて美しかったが、その夫は剛情で、粗暴であった。彼はカレブびとであった。 4 ダビデは荒野にいて、ナバルがその羊の毛を切っていることを聞いたので、 5 十人の若者をつかわし、その若者たちに言った、「カルメルに上って行ってナバルの所へ行き、わたしの名をもって彼にあいさつし、 6 彼にこう言いなさい、『どうぞあなたに平安があるように。あなたの家に平安があるように。またあなたのすべての持ち物に平安があるように。 7 わたしはあなたが羊の毛を切っておられることを聞きました。あなたの羊飼たちはわれわれと一緒にいたのですが、われわれは彼らを少しも害しませんでした。また彼らはカルメルにいる間に、何ひとつ失ったことはありません。 8 あなたの若者たちに聞いてみられるならば、わかります。それゆえ、わたしの若者たちに、あなたの好意を示してください。われわれは祝の日にきたのです。どうぞ、あなたの手もとにあるものを、贈り物として、しもべどもとあなたの子ダビデにください』」。 9 ダビデの若者たちは行って、ダビデの名をもって、これらの言葉をナバルに語り、そして待っていた。 10 ナバルはダビデの若者たちに答えて言った、「ダビデとはだれか。エッサイの子とはだれか。このごろは、主人を捨てて逃げるしもべが多い。 11 どうしてわたしのパンと水、またわたしの羊の毛を切る人々のためにほふった肉をとって、どこからきたのかわからない人々に与えることができようか」。 12 ダビデの若者たちは、そこを去り、帰ってきて、彼にこのすべての事を告げた。 13 そこでダビデは従者たちに言った、「おのおの、つるぎを帯びなさい」。彼らはおのおのつるぎを帯び、ダビデもまたつるぎを帯びた。そしておおよそ四百人がダビデに従って上っていき、二百人は荷物のところにとどまった。 14 ところで、ひとりの若者がナバルの妻アビガイルに言った、「ダビデが荒野から使者をつかわして、主人にあいさつをしたのに、主人はその使者たちをののしられました。 15 しかし、あの人々はわれわれに大へんよくしてくれて、われわれは少しも害を受けず、またわれわれが野にいた時、彼らと共にいた間は、何ひとつ失ったことはありませんでした。 16 われわれが羊を飼って彼らと共にいる間、彼らは夜も昼もわれわれのかきとなってくれました。 17 それで、あなたは今それを知って、自分のすることを考えてください。主人とその一家に災が起きるからです。しかも主人はよこしまな人で、話しかけることもできません」。 18 その時、アビガイルは急いでパン二百、ぶどう酒の皮袋二つ、調理した羊五頭、いり麦五セア、ほしぶどう百ふさ、ほしいちじくのかたまり二百を取って、ろばにのせ、 19 若者たちに言った、「わたしのさきに進みなさい。わたしはあなたがたのうしろに、ついて行きます」。しかし彼女は夫ナバルには告げなかった。 20 アビガイルが、ろばに乗って山陰を下ってきた時、ダビデと従者たちは彼女の方に向かって降りてきたので、彼女はその人々に出会った。 21 さて、ダビデはさきにこう言った、「わたしはこの人が荒野で持っている物をみな守って、その人に属する物を何ひとつなくならないようにしたが、それは全くむだであった。彼はわたしのした親切に悪をもって報いた。 22 もしわたしがあすの朝まで、ナバルに属するすべての者のうち、ひとりの男でも残しておくならば、神が幾重にもダビデを罰してくださるように」。 23 アビガイルはダビデを見て、急いで、ろばを降り、ダビデの前で地にひれ伏し、 24 その足もとに伏して言った、「わが君よ、このとがをわたしだけに負わせてください。しかしどうぞ、はしために、あなたの耳に語ることを許し、はしための言葉をお聞きください。 25 …

サムエル記上 26

1 そのころジフびとがギベアにおるサウルのもとにきて言った、「ダビデは荒野の前にあるハキラの山に隠れているではありませんか」。 2 サウルは立って、ジフの荒野でダビデを捜すために、イスラエルのうちから選んだ三千人をひき連れて、ジフの荒野に下った。 3 サウルは荒野の前の道のかたわらにあるハキラの山に陣を取った。ダビデは荒野にとどまっていたが、サウルが自分のあとを追って荒野にきたのを見て、 4 斥候を出し、サウルが確かにきたのを知った。 5 そしてダビデは立って、サウルが陣を取っている所へ行って、サウルとその軍の長、ネルの子アブネルの寝ている場所を見た。サウルは陣所のうちに寝ていて、民はその周囲に宿営していた。 6 ダビデは、ヘテびとアヒメレク、およびゼルヤの子で、ヨアブの兄弟であるアビシャイに言った、「だれがわたしと共にサウルの陣に下って行くか」。アビシャイは言った、「わたしが一緒に下って行きます」。 7 こうしてダビデとアビシャイとが夜、民のところへ行ってみると、サウルは陣所のうちに身を横たえて寝ており、そのやりは枕もとに地に突きさしてあった。そしてアブネルと民らとはその周囲に寝ていた。 8 アビシャイはダビデに言った、「神はきょう敵をあなたの手に渡されました。どうぞわたしに、彼のやりをもってひと突きで彼を地に刺しとおさせてください。ふたたび突くには及びません」。 9 しかしダビデはアビシャイに言った、「彼を殺してはならない。主が油を注がれた者に向かって、手をのべ、罪を得ない者があろうか」。 10 ダビデはまた言った、「主は生きておられる。主が彼を撃たれるであろう。あるいは彼の死ぬ日が来るであろう。あるいは戦いに下って行って滅びるであろう。 11 主が油を注がれた者に向かって、わたしが手をのべることを主は禁じられる。しかし今、そのまくらもとにあるやりと水のびんを取りなさい。そしてわれわれは去ろう」。 12 こうしてダビデはサウルの枕もとから、やりと水のびんを取って彼らは去ったが、だれもそれを見ず、だれも知らず、また、だれも目をさまさず、みな眠っていた。主が彼らを深く眠らされたからである。 13 ダビデは向こう側に渡って行って、遠く離れて山の頂に立った。彼らの間の隔たりは大きかった。 14 ダビデは民とネルの子アブネルに呼ばわって言った、「アブネルよ、あなたは答えないのか」。アブネルは答えて言った、「王を呼んでいるあなたはだれか」。 15 ダビデはアブネルに言った、「あなたは男ではないか。イスラエルのうちに、あなたに及ぶ人があろうか。それであるのに、どうしてあなたは主君である王を守らなかったのか。民のひとりが、あなたの主君である王を殺そうとして、はいりこんだではないか。 16 あなたがしたこの事は良くない。主は生きておられる。あなたがたは、まさに死に値する。主が油をそそがれた、あなたの主君を守らなかったからだ。いま王のやりがどこにあるか。その枕もとにあった水のびんがどこにあるかを見なさい」。 17 サウルはダビデの声を聞きわけて言った、「わが子ダビデよ、これはあなたの声か」。ダビデは言った、「王、わが君よ、わたしの声です」。 18 ダビデはまた言った、「わが君はどうしてしもべのあとを追われるのですか。わたしが何をしたのですか。わたしの手になんのわるいことがあるのですか。 19 王、わが君よ、どうぞ、今しもべの言葉を聞いてください。もし主があなたを動かして、わたしの敵とされたのであれば、どうぞ主が供え物を受けて和らいでくださるように。もし、それが人であるならば、どうぞその人々が主の前にのろいを受けるように。彼らが『おまえは行って他の神々に仕えなさい』と言って、きょう、わたしを追い出し、主の嗣業にあずかることができないようにしたからです。 20 それゆえ今、主の前を離れて、わたしの血が地に落ちることのないようにしてください。イスラエルの王は、人が山で、しゃこを追うように、わたしの命を取ろうとして出てこられたのです」。 21 その時、サウルは言った、「わたしは罪を犯した。わが子ダビデよ、帰ってきてください。きょう、わたしの命があなたの目に尊く見られたゆえ、わたしは、もはやあなたに害を加えないであろう。わたしは愚かなことをして、非常なまちがいをした」。 22 ダビデは答えた、「王のやりは、ここにあります。ひとりの若者に渡ってこさせ、これを持ちかえらせてください。 23 主は人おのおのにその義と真実とに従って報いられます。主がきょう、あなたをわたしの手に渡されたのに、わたしは主が油を注がれた者に向かって、手をのべることをしなかったのです。 24 きょう、わたしがあなたの命を重んじたように、どうぞ主がわたしの命を重んじて、もろもろの苦難から救い出してくださるように」。 25 サウルはダビデに言った、「わが子ダビデよ、あなたはほむべきかな。あなたは多くの事をおこなって、それをなし遂げるであろう」。こうしてダビデはその道を行き、サウルは自分の所へ帰った。

サムエル記上 27

1 ダビデは心のうちに言った、「わたしは、いつかはサウルの手にかかって滅ぼされるであろう。早くペリシテびとの地へのがれるほかはない。そうすればサウルはこの上イスラエルの地にわたしをくまなく捜すことはやめ、わたしは彼の手からのがれることができるであろう」。 2 こうしてダビデは、共にいた六百人と一緒に、立ってガテの王マオクの子アキシの所へ行った。 3 ダビデと従者たちは、おのおのその家族とともに、ガテでアキシと共に住んだ。ダビデはそのふたりの妻、すなわちエズレルの女アヒノアムと、カルメルの女でナバルの妻であったアビガイルと共におった。 4 ダビデがガテにのがれたことがサウルに聞えたので、サウルはもはや彼を捜さなかった。 5 さてダビデはアキシに言った、「もしわたしがあなたの前に恵みを得るならば、どうぞ、いなかにある町のうちで一つの場所をわたしに与えてそこに住まわせてください。どうしてしもべがあなたと共に王の町に住むことができましょうか」。 6 アキシはその日チクラグを彼に与えた。こうしてチクラグは今日にいたるまでユダの王に属している。 7 ダビデがペリシテびとの国に住んだ日の数は一年と四か月であった。 8 さてダビデは従者と共にのぼって、ゲシュルびと、ゲゼルびとおよびアマレクびとを襲った。これらは昔からシュルに至るまでの地の住民であって、エジプトに至るまでの地に住んでいた。 9 ダビデはその地を撃って、男も女も生かしおかず、羊と牛とろばとらくだと衣服とを取って、アキシのもとに帰ってきた。 10 アキシが「あなたはきょうどこを襲いましたか」と尋ねると、ダビデは、その時々、「ユダのネゲブです」、「エラメルびとのネゲブです」「ケニびとのネゲブです」と言った。 11 ダビデは男も女も生かしおかず、ひとりをもガテに引いて行かなかった。それはダビデが、「恐らくは、彼らが、『ダビデはこうした』と言って、われわれのことを告げるであろう」と思ったからである。ダビデはペリシテびとのいなかに住んでいる間はこうするのが常であった。 12 アキシはダビデを信じて言った、「彼は自分を全くその民イスラエルに憎まれるようにした。それゆえ彼は永久にわたしのしもべとなるであろう」。

サムエル記上 28

1 そのころ、ペリシテびとがイスラエルと戦おうとして、いくさのために軍勢を集めたので、アキシはダビデに言った、「あなたは、しかと承知してください。あなたとあなたの従者たちとは、わたしと共に出て、軍勢に加わらなければなりません」。 2 ダビデはアキシに言った、「よろしい、あなたはしもべが何をするかを知られるでしょう」。アキシはダビデに言った、「よろしい、あなたを終身わたしの護衛の長としよう」。 3 さてサムエルはすでに死んで、イスラエルのすべての人は彼のために悲しみ、その町ラマに葬った。また先にサウルは口寄せや占い師をその地から追放した。 4 ペリシテびとが集まってきてシュネムに陣を取ったので、サウルはイスラエルのすべての人を集めて、ギルボアに陣を取った。 5 サウルはペリシテびとの軍勢を見て恐れ、その心はいたくおののいた。 6 そこでサウルは主に伺いをたてたが、主は夢によっても、ウリムによっても、預言者によっても彼に答えられなかった。 7 サウルはしもべたちに言った、「わたしのために、口寄せの女を捜し出しなさい。わたしは行ってその女に尋ねよう」。しもべたちは彼に言った、「見よ、エンドルにひとりの口寄せがいます」。 8 サウルは姿を変えてほかの着物をまとい、ふたりの従者を伴って行き、夜の間に、その女の所にきた。そしてサウルは言った、「わたしのために口寄せの術を行って、わたしがあなたに告げる人を呼び起してください」。 9 女は彼に言った、「あなたはサウルがしたことをごぞんじでしょう。彼は口寄せや占い師をその国から断ち滅ぼしました。どうしてあなたは、わたしの命にわなをかけて、わたしを死なせようとするのですか」。 10 サウルは主をさして彼女に誓って言った、「主は生きておられる。この事のためにあなたが罰を受けることはないでしょう」。 11 女は言った、「あなたのためにだれを呼び起しましょうか」。サウルは言った、「サムエルを呼び起してください」。 12 女はサムエルを見た時、大声で叫んだ。そしてその女はサウルに言った、「どうしてあなたはわたしを欺かれたのですか。あなたはサウルです」。 13 王は彼女に言った、「恐れることはない。あなたには何が見えるのですか」。女はサウルに言った、「神のようなかたが地からのぼられるのが見えます」。 14 サウルは彼女に言った、「その人はどんな様子をしていますか」。彼女は言った、「ひとりの老人がのぼってこられます。その人は上着をまとっておられます」。サウルはその人がサムエルであるのを知り、地にひれ伏して拝した。 15 サムエルはサウルに言った、「なぜ、わたしを呼び起して、わたしを煩わすのか」。サウルは言った、「わたしは、ひじょうに悩んでいます。ペリシテびとがわたしに向かっていくさを起し、神はわたしを離れて、預言者によっても、夢によっても、もはやわたしに答えられないのです。それで、わたしのすべきことを知るために、あなたを呼びました」。 16 サムエルは言った、「主があなたを離れて、あなたの敵となられたのに、どうしてあなたはわたしに問うのですか。 17 主は、わたしによって語られたとおりにあなたに行われた。主は王国を、あなたの手から裂きはなして、あなたの隣人であるダビデに与えられた。 18 あなたは主の声に聞き従わず、主の激しい怒りに従って、アマレクびとを撃ち滅ぼさなかったゆえに、主はこの事を、この日、あなたに行われたのである。 19 主はまたイスラエルをも、あなたと共に、ペリシテびとの手に渡されるであろう。あすは、あなたもあなたの子らもわたしと一緒になるであろう。また主はイスラエルの軍勢をもペリシテびとの手に渡される」。 20 そのときサウルは、ただちに、地に伸び、倒れ、サムエルの言葉のために、ひじょうに恐れ、またその力はうせてしまった。その一日一夜、食物をとっていなかったからである。 21 女はサウルのもとにきて、彼のおののいているのを見て言った、「あなたのつかえめは、あなたの声に聞き従い、わたしの命をかけて、あなたの言われた言葉に従いました。 22 それゆえ今あなたも、つかえめの声に聞き従い、一口のパンをあなたの前にそなえさせてください。あなたはそれをめしあがって力をつけ、道を行ってください」。 23 ところがサウルは断って言った、「わたしは食べません」。しかし彼のしもべたちも、その女もしいてすすめたので、サウルはその言葉を聞きいれ、地から起きあがり、床の上にすわった。 24 その女は家に肥えた子牛があったので、急いでそれをほふり、また麦粉をとり、こねて、種入れぬパンを焼き、 25 サウルとそのしもべたちの前に持ってきたので、彼らは食べた。そして彼らは立ち上がって、その夜のうちに去った。

サムエル記上 29

1 さてペリシテびとは、その軍勢をことごとくアペクに集めた。イスラエルびとはエズレルにある泉のかたわらに陣を取った。 2 ペリシテびとの君たちは、あるいは百人、あるいは千人を率いて進み、ダビデとその従者たちはアキシと共に、しんがりになって進んだ。 3 その時、ペリシテびとの君たちは言った、「これらのヘブルびとはここで何をしているのか」。アキシはペリシテびとたちに言った、「これはイスラエルの王サウルのしもべダビデではないか。彼はこの日ごろ、この年ごろ、わたしと共にいたが、逃げ落ちてきた日からきょうまで、わたしは彼にあやまちがあったのを見たことがない」。 4 しかしペリシテびとの君たちは彼に向かって怒った。そしてペリシテびとの君たちは彼に言った、「この人を帰らせて、あなたが彼を置いたもとの所へ行かせなさい。われわれと一緒に彼を戦いに下らせてはならない。戦いの時、彼がわれわれの敵となるかも知れないからである。この者は何をもってその主君とやわらぐことができようか。ここにいる人々の首をもってするほかはあるまい。 5 12 1Sam.29.5 6 そこでアキシはダビデを呼んで言った、「主は生きておられる。あなたは正しい人である。あなたがわたしと一緒に戦いに出入りすることをわたしは良いと思っている。それはあなたがわたしの所にきた日からこの日まで、わたしは、あなたに悪い事があったのを見たことがないからである。しかしペリシテびとの君たちはあなたを良く言わない。 7 それゆえ今安らかに帰って行きなさい。彼らが悪いと思うことはしないがよかろう」。 8 ダビデはアキシに言った、「しかしわたしが何をしたというのですか。わたしがあなたに仕えはじめた日からこの日までに、あなたはしもべの身に何を見られたので、わたしは行って、わたしの主君である王の敵と戦うことができないのですか」。 9 アキシはダビデに答えた、「わたしは見て、あなたが神の使のようにりっぱな人であることを知っている。しかし、ペリシテびとの君たちは、『われわれと一緒に彼を戦いに上らせてはならない』と言っている。 10 それで、あなたは、一緒にきたあなたの主君のしもべたちと共に朝早く起きなさい。そして朝早く起き、夜が明けてから去りなさい」。 11 こうしてダビデとその従者たちとは共にペリシテびとの地へ帰ろうと、朝早く起きて出立したが、ペリシテびとはエズレルへ上って行った。

士師記 5

1 その日デボラとアビノアムの子バラクは歌って言った。 2 32 Judg.5.2 3 33 Judg.5.3 4 34 Judg.5.4 5 35 Judg.5.5 6 36 Judg.5.6 7 37 Judg.5.7 8 38 Judg.5.8 9 39 Judg.5.9 10 40 Judg.5.10 11 41 Judg.5.11 12 42 Judg.5.12 13 43 Judg.5.13 14 44 Judg.5.14 15 45 Judg.5.15 16 46 Judg.5.16 17 47 Judg.5.17 …

士師記 6

1 イスラエルの人々はまた主の前に悪をおこなったので、主は彼らを七年の間ミデアンびとの手にわたされた。 2 ミデアンびとの手はイスラエルに勝った。イスラエルの人々はミデアンびとのゆえに、山にある岩屋と、ほら穴と要害とを自分たちのために造った。 3 イスラエルびとが種をまいた時には、いつもミデアンびと、アマレクびとおよび東方の民が上ってきてイスラエルびとを襲い、 4 イスラエルびとに向かって陣を取り、地の産物を荒してガザの附近にまで及び、イスラエルのうちに命をつなぐべき物を残さず、羊も牛もろばも残さなかった。 5 彼らが家畜と天幕を携えて、いなごのように多く上ってきたからである。すなわち彼らとそのらくだは無数であって、彼らは国を荒すためにはいってきたのであった。 6 こうしてイスラエルはミデアンびとのために非常に衰え、イスラエルの人々は主に呼ばわった。 7 イスラエルの人々がミデアンびとのゆえに、主に呼ばわったとき、 8 主はひとりの預言者をイスラエルの人々につかわして彼らに言われた、「イスラエルの神、主はこう言われる、『わたしはかつてあなたがたをエジプトから導き上り、あなたがたを奴隷の家から携え出し、 9 エジプトびとの手およびすべてあなたがたをしえたげる者の手から救い出し、あなたがたの前から彼らを追い払って、その国をあなたがたに与えた。 10 そしてあなたがたに言った、「わたしはあなたがたの神、主である。あなたがたが住んでいる国のアモリびとの神々を恐れてはならない」と。しかし、あなたがたはわたしの言葉に従わなかった』」。 11 さて主の使がきて、アビエゼルびとヨアシに属するオフラにあるテレビンの木の下に座した。時にヨアシの子ギデオンはミデアンびとの目を避けるために酒ぶねの中で麦を打っていたが、 12 主の使は彼に現れて言った、「大勇士よ、主はあなたと共におられます」。 13 ギデオンは言った、「ああ、君よ、主がわたしたちと共におられるならば、どうしてこれらの事がわたしたちに臨んだのでしょう。わたしたちの先祖が『主はわれわれをエジプトから導き上られたではないか』といって、わたしたちに告げたそのすべての不思議なみわざはどこにありますか。今、主はわたしたちを捨てて、ミデアンびとの手にわたされました」。 14 主はふり向いて彼に言われた、「あなたはこのあなたの力をもって行って、ミデアンびとの手からイスラエルを救い出しなさい。わたしがあなたをつかわすのではありませんか」。 15 ギデオンは主に言った、「ああ主よ、わたしはどうしてイスラエルを救うことができましょうか。わたしの氏族はマナセのうちで最も弱いものです。わたしはまたわたしの父の家族のうちで最も小さいものです」。 16 主は言われた、「しかし、わたしがあなたと共におるから、ひとりを撃つようにミデアンびとを撃つことができるでしょう」。 17 ギデオンはまた主に言った、「わたしがもしあなたの前に恵みを得ていますならば、どうぞ、わたしと語るのがあなたであるというしるしを見せてください。 18 どうぞ、わたしが供え物を携えてあなたのもとにもどってきて、あなたの前に供えるまで、ここを去らないでください」。主は言われた、「わたしはあなたがもどって来るまで待ちましょう」。 19 そこでギデオンは自分の家に行って、やぎの子を整え、一エパの粉で種入れぬパンをつくり、肉をかごに入れ、あつものをつぼに盛り、テレビンの木の下におる彼のもとに持ってきて、それを供えた。 20 神の使は彼に言った、「肉と種入れぬパンをとって、この岩の上に置き、それにあつものを注ぎなさい」。彼はそのようにした。 21 すると主の使が手にもっていたつえの先を出して、肉と種入れぬパンに触れると、岩から火が燃えあがって、肉と種入れぬパンとを焼きつくした。そして主の使は去って見えなくなった。 22 ギデオンはその人が主の使であったことをさとって言った、「ああ主なる神よ、どうなることでしょう。わたしは顔をあわせて主の使を見たのですから」。 23 主は彼に言われた、「安心せよ、恐れるな。あなたは死ぬことはない」。 24 そこでギデオンは主のために祭壇をそこに築いて、それを「主は平安」と名づけた。これは今日までアビエゼルびとのオフラにある。 25 その夜、主はギデオンに言われた、「あなたの父の雄牛と七歳の第二の雄牛とを取り、あなたの父のもっているバアルの祭壇を打ちこわし、そのかたわらにあるアシラ像を切り倒し、 …