1 よくよくあなたがたに言っておく。羊の囲いにはいるのに、門からでなく、ほかの所からのりこえて来る者は、盗人であり、強盗である。 2 門からはいる者は、羊の羊飼である。 3 門番は彼のために門を開き、羊は彼の声を聞く。そして彼は自分の羊の名をよんで連れ出す。 4 自分の羊をみな出してしまうと、彼は羊の先頭に立って行く。羊はその声を知っているので、彼について行くのである。 5 ほかの人には、ついて行かないで逃げ去る。その人の声を知らないからである」。 6 イエスは彼らにこの比喩を話されたが、彼らは自分たちにお話しになっているのが何のことだか、わからなかった。 7 そこで、イエスはまた言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。わたしは羊の門である。 8 わたしよりも前にきた人は、みな盗人であり、強盗である。羊は彼らに聞き従わなかった。 9 わたしは門である。わたしをとおってはいる者は救われ、また出入りし、牧草にありつくであろう。 10 盗人が来るのは、盗んだり、殺したり、滅ぼしたりするためにほかならない。わたしがきたのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである。 11 わたしはよい羊飼である。よい羊飼は、羊のために命を捨てる。 12 羊飼ではなく、羊が自分のものでもない雇人は、おおかみが来るのを見ると、羊をすてて逃げ去る。そして、おおかみは羊を奪い、また追い散らす。 13 彼は雇人であって、羊のことを心にかけていないからである。 14 わたしはよい羊飼であって、わたしの羊を知り、わたしの羊はまた、わたしを知っている。 15 それはちょうど、父がわたしを知っておられ、わたしが父を知っているのと同じである。そして、わたしは羊のために命を捨てるのである。 16 わたしにはまた、この囲いにいない他の羊がある。わたしは彼らをも導かねばならない。彼らも、わたしの声に聞き従うであろう。そして、ついに一つの群れ、ひとりの羊飼となるであろう。 17 父は、わたしが自分の命を捨てるから、わたしを愛して下さるのである。命を捨てるのは、それを再び得るためである。 18 だれかが、わたしからそれを取り去るのではない。わたしが、自分からそれを捨てるのである。わたしには、それを捨てる力があり、またそれを受ける力もある。これはわたしの父から授かった定めである」。 19 これらの言葉を語られたため、ユダヤ人の間にまたも分争が生じた。 20 そのうちの多くの者が言った、「彼は悪霊に取りつかれて、気が狂っている。どうして、あなたがたはその言うことを聞くのか」。 21 他の人々は言った、「それは悪霊に取りつかれた者の言葉ではない。悪霊は盲人の目をあけることができようか」。 22 そのころ、エルサレムで宮きよめの祭が行われた。時は冬であった。 23 イエスは、宮の中にあるソロモンの廊を歩いておられた。 24 するとユダヤ人たちが、イエスを取り囲んで言った、「いつまでわたしたちを不安のままにしておくのか。あなたがキリストであるなら、そうとはっきり言っていただきたい」。 25 イエスは彼らに答えられた、「わたしは話したのだが、あなたがたは信じようとしない。わたしの父の名によってしているすべてのわざが、わたしのことをあかししている。 …
使徒行伝 5
1 ところが、アナニヤという人とその妻サッピラとは共に資産を売ったが、 2 共謀して、その代金をごまかし、一部だけを持ってきて、使徒たちの足もとに置いた。 3 そこで、ペテロが言った、「アナニヤよ、どうしてあなたは、自分の心をサタンに奪われて、聖霊を欺き、地所の代金をごまかしたのか。 4 売らずに残しておけば、あなたのものであり、売ってしまっても、あなたの自由になったはずではないか。どうして、こんなことをする気になったのか。あなたは人を欺いたのではなくて、神を欺いたのだ」。 5 アナニヤはこの言葉を聞いているうちに、倒れて息が絶えた。このことを伝え聞いた人々は、みな非常なおそれを感じた。 6 それから、若者たちが立って、その死体を包み、運び出して葬った。 7 三時間ばかりたってから、たまたま彼の妻が、この出来事を知らずに、はいってきた。 8 そこで、ペテロが彼女にむかって言った、「あの地所は、これこれの値段で売ったのか。そのとおりか」。彼女は「そうです、その値段です」と答えた。 9 ペテロは言った、「あなたがたふたりが、心を合わせて主の御霊を試みるとは、何事であるか。見よ、あなたの夫を葬った人たちの足が、そこの門口にきている。あなたも運び出されるであろう」。 10 すると女は、たちまち彼の足もとに倒れて、息が絶えた。そこに若者たちがはいってきて、女が死んでしまっているのを見、それを運び出してその夫のそばに葬った。 11 教会全体ならびにこれを伝え聞いた人たちは、みな非常なおそれを感じた。 12 そのころ、多くのしるしと奇跡とが、次々に使徒たちの手により人々の中で行われた。そして、一同は心を一つにして、ソロモンの廊に集まっていた。 13 ほかの者たちは、だれひとり、その交わりに入ろうとはしなかったが、民衆は彼らを尊敬していた。 14 しかし、主を信じて仲間に加わる者が、男女とも、ますます多くなってきた。 15 ついには、病人を大通りに運び出し、寝台や寝床の上に置いて、ペテロが通るとき、彼の影なりと、そのうちのだれかにかかるようにしたほどであった。 16 またエルサレム附近の町々からも、大ぜいの人が、病人や汚れた霊に苦しめられている人たちを引き連れて、集まってきたが、その全部の者が、ひとり残らずいやされた。 17 そこで、大祭司とその仲間の者、すなわち、サドカイ派の人たちが、みな嫉妬の念に満たされて立ちあがり、 18 使徒たちに手をかけて捕え、公共の留置場に入れた。 19 ところが夜、主の使が獄の戸を開き、彼らを連れ出して言った、 20 「さあ行きなさい。そして、宮の庭に立ち、この命の言葉を漏れなく、人々に語りなさい」。 21 43 Acts.5.21 22 そこで、下役どもが行って見ると、使徒たちが獄にいないので、引き返して報告した、 23 「獄には、しっかりと錠がかけてあり、戸口には、番人が立っていました。ところが、あけて見たら、中にはだれもいませんでした」。 24 宮守がしらと祭司長たちとは、この報告を聞いて、これは、いったい、どんな事になるのだろうと、あわて惑っていた。 25 …
ヨハネによる福音書 11
1 さて、ひとりの病人がいた。ラザロといい、マリヤとその姉妹マルタの村ベタニヤの人であった。 2 このマリヤは主に香油をぬり、自分の髪の毛で、主の足をふいた女であって、病気であったのは、彼女の兄弟ラザロであった。 3 姉妹たちは人をイエスのもとにつかわして、「主よ、ただ今、あなたが愛しておられる者が病気をしています」と言わせた。 4 イエスはそれを聞いて言われた、「この病気は死ぬほどのものではない。それは神の栄光のため、また、神の子がそれによって栄光を受けるためのものである」。 5 イエスは、マルタとその姉妹とラザロとを愛しておられた。 6 ラザロが病気であることを聞いてから、なおふつか、そのおられた所に滞在された。 7 それから弟子たちに、「もう一度ユダヤに行こう」と言われた。 8 弟子たちは言った、「先生、ユダヤ人らが、さきほどもあなたを石で殺そうとしていましたのに、またそこに行かれるのですか」。 9 イエスは答えられた、「一日には十二時間あるではないか。昼間あるけば、人はつまずくことはない。この世の光を見ているからである。 10 しかし、夜あるけば、つまずく。その人のうちに、光がないからである」。 11 そう言われたが、それからまた、彼らに言われた、「わたしたちの友ラザロが眠っている。わたしは彼を起しに行く」。 12 すると弟子たちは言った、「主よ、眠っているのでしたら、助かるでしょう」。 13 イエスはラザロが死んだことを言われたのであるが、弟子たちは、眠って休んでいることをさして言われたのだと思った。 14 するとイエスは、あからさまに彼らに言われた、「ラザロは死んだのだ。 15 そして、わたしがそこにいあわせなかったことを、あなたがたのために喜ぶ。それは、あなたがたが信じるようになるためである。では、彼のところに行こう」。 16 するとデドモと呼ばれているトマスが、仲間の弟子たちに言った、「わたしたちも行って、先生と一緒に死のうではないか」。 17 さて、イエスが行ってごらんになると、ラザロはすでに四日間も墓の中に置かれていた。 18 ベタニヤはエルサレムに近く、二十五丁ばかり離れたところにあった。 19 大ぜいのユダヤ人が、その兄弟のことで、マルタとマリヤとを慰めようとしてきていた。 20 マルタはイエスがこられたと聞いて、出迎えに行ったが、マリヤは家ですわっていた。 21 マルタはイエスに言った、「主よ、もしあなたがここにいて下さったなら、わたしの兄弟は死ななかったでしょう。 22 しかし、あなたがどんなことをお願いになっても、神はかなえて下さることを、わたしは今でも存じています」。 23 イエスはマルタに言われた、「あなたの兄弟はよみがえるであろう」。 24 マルタは言った、「終りの日のよみがえりの時よみがえることは、存じています」。 25 イエスは彼女に言われた、「わたしはよみがえりであり、命である。わたしを信じる者は、たとい死んでも生きる。 …
使徒行伝 6
1 そのころ、弟子の数がふえてくるにつれて、ギリシヤ語を使うユダヤ人たちから、ヘブル語を使うユダヤ人たちに対して、自分たちのやもめらが、日々の配給で、おろそかにされがちだと、苦情を申し立てた。 2 そこで、十二使徒は弟子全体を呼び集めて言った、「わたしたちが神の言をさしおいて、食卓のことに携わるのはおもしろくない。 3 そこで、兄弟たちよ、あなたがたの中から、御霊と知恵とに満ちた、評判のよい人たち七人を捜し出してほしい。その人たちにこの仕事をまかせ、 4 わたしたちは、もっぱら祈と御言のご用に当ることにしよう」。 5 この提案は会衆一同の賛成するところとなった。そして信仰と聖霊とに満ちた人ステパノ、それからピリポ、プロコロ、ニカノル、テモン、パルメナ、およびアンテオケの改宗者ニコラオを選び出して、 6 使徒たちの前に立たせた。すると、使徒たちは祈って手を彼らの上においた。 7 こうして神の言は、ますますひろまり、エルサレムにおける弟子の数が、非常にふえていき、祭司たちも多数、信仰を受けいれるようになった。 8 さて、ステパノは恵みと力とに満ちて、民衆の中で、めざましい奇跡としるしとを行っていた。 9 すると、いわゆる「リベルテン」の会堂に属する人々、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤからきた人々などが立って、ステパノと議論したが、 10 彼は知恵と御霊とで語っていたので、それに対抗できなかった。 11 そこで、彼らは人々をそそのかして、「わたしたちは、彼がモーセと神とを汚す言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。 12 その上、民衆や長老たちや律法学者たちを煽動し、彼を襲って捕えさせ、議会にひっぱってこさせた。 13 それから、偽りの証人たちを立てて言わせた、「この人は、この聖所と律法とに逆らう言葉を吐いて、どうしても、やめようとはしません。 14 『あのナザレ人イエスは、この聖所を打ちこわし、モーセがわたしたちに伝えた慣例を変えてしまうだろう』などと、彼が言うのを、わたしたちは聞きました」。 15 議会で席についていた人たちは皆、ステパノに目を注いだが、彼の顔は、ちょうど天使の顔のように見えた。
ルカによる福音書 20
1 ある日、イエスが宮で人々に教え、福音を宣べておられると、祭司長や律法学者たちが、長老たちと共に近寄ってきて、 2 イエスに言った、「何の権威によってこれらの事をするのですか。そうする権威をあなたに与えたのはだれですか、わたしたちに言ってください」。 3 そこで、イエスは答えて言われた、「わたしも、ひと言たずねよう。それに答えてほしい。 4 ヨハネのバプテスマは、天からであったか、人からであったか」。 5 彼らは互に論じて言った、「もし天からだと言えば、では、なぜ彼を信じなかったのか、とイエスは言うだろう。 6 しかし、もし人からだと言えば、民衆はみな、ヨハネを預言者だと信じているから、わたしたちを石で打つだろう」。 7 それで彼らは「どこからか、知りません」と答えた。 8 イエスはこれに対して言われた、「わたしも何の権威によってこれらの事をするのか、あなたがたに言うまい」。 9 そこでイエスは次の譬を民衆に語り出された、「ある人がぶどう園を造って農夫たちに貸し、長い旅に出た。 10 季節になったので、農夫たちのところへ、ひとりの僕を送って、ぶどう園の収穫の分け前を出させようとした。ところが、農夫たちは、その僕を袋だたきにし、から手で帰らせた。 11 そこで彼はもうひとりの僕を送った。彼らはその僕も袋だたきにし、侮辱を加えて、から手で帰らせた。 12 そこで更に三人目の者を送ったが、彼らはこの者も、傷を負わせて追い出した。 13 ぶどう園の主人は言った、『どうしようか。そうだ、わたしの愛子をつかわそう。これなら、たぶん敬ってくれるだろう』。 14 ところが、農夫たちは彼を見ると、『あれはあと取りだ。あれを殺してしまおう。そうしたら、その財産はわれわれのものになるのだ』と互に話し合い、 15 彼をぶどう園の外に追い出して殺した。そのさい、ぶどう園の主人は、彼らをどうするだろうか。 16 彼は出てきて、この農夫たちを殺し、ぶどう園を他の人々に与えるであろう」。人々はこれを聞いて、「そんなことがあってはなりません」と言った。 17 48 Luke.20.17 18 すべてその石の上に落ちる者は打ち砕かれ、それがだれかの上に落ちかかるなら、その人はこなみじんにされるであろう」。 19 このとき、律法学者たちや祭司長たちはイエスに手をかけようと思ったが、民衆を恐れた。いまの譬が自分たちに当てて語られたのだと、悟ったからである。 20 そこで、彼らは機会をうかがい、義人を装うまわし者どもを送って、イエスを総督の支配と権威とに引き渡すため、その言葉じりを捕えさせようとした。 21 彼らは尋ねて言った、「先生、わたしたちは、あなたの語り教えられることが正しく、また、あなたは分け隔てをなさらず、真理に基いて神の道を教えておられることを、承知しています。 22 ところで、カイザルに貢を納めてよいでしょうか、いけないでしょうか」。 23 イエスは彼らの悪巧みを見破って言われた、 24 「デナリを見せなさい。それにあるのは、だれの肖像、だれの記号なのか」。「カイザルのです」と、彼らが答えた。 25 …
ルカによる福音書 21
1 イエスは目をあげて、金持たちがさいせん箱に献金を投げ入れるのを見られ、 2 また、ある貧しいやもめが、レプタ二つを入れるのを見て 3 言われた、「よく聞きなさい。あの貧しいやもめはだれよりもたくさん入れたのだ。 4 これらの人たちはみな、ありあまる中から献金を投げ入れたが、あの婦人は、その乏しい中から、持っている生活費全部を入れたからである」。 5 ある人々が、見事な石と奉納物とで宮が飾られていることを話していたので、イエスは言われた、 6 「あなたがたはこれらのものをながめているが、その石一つでもくずされずに、他の石の上に残ることもなくなる日が、来るであろう」。 7 そこで彼らはたずねた、「先生、では、いつそんなことが起るのでしょうか。またそんなことが起るような場合には、どんな前兆がありますか」。 8 イエスが言われた、「あなたがたは、惑わされないように気をつけなさい。多くの者がわたしの名を名のって現れ、自分がそれだとか、時が近づいたとか、言うであろう。彼らについて行くな。 9 戦争と騒乱とのうわさを聞くときにも、おじ恐れるな。こうしたことはまず起らねばならないが、終りはすぐにはこない」。 10 それから彼らに言われた、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。 11 また大地震があり、あちこちに疫病やききんが起り、いろいろ恐ろしいことや天からの物すごい前兆があるであろう。 12 しかし、これらのあらゆる出来事のある前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害をし、会堂や獄に引き渡し、わたしの名のゆえに王や総督の前にひっぱって行くであろう。 13 それは、あなたがたがあかしをする機会となるであろう。 14 だから、どう答弁しようかと、前もって考えておかないことに心を決めなさい。 15 あなたの反対者のだれもが抗弁も否定もできないような言葉と知恵とを、わたしが授けるから。 16 しかし、あなたがたは両親、兄弟、親族、友人にさえ裏切られるであろう。また、あなたがたの中で殺されるものもあろう。 17 また、わたしの名のゆえにすべての人に憎まれるであろう。 18 しかし、あなたがたの髪の毛一すじでも失われることはない。 19 あなたがたは耐え忍ぶことによって、自分の魂をかち取るであろう。 20 エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば、そのときは、その滅亡が近づいたとさとりなさい。 21 そのとき、ユダヤにいる人々は山へ逃げよ。市中にいる者は、そこから出て行くがよい。また、いなかにいる者は市内にはいってはいけない。 22 それは、聖書にしるされたすべての事が実現する刑罰の日であるからだ。 23 その日には、身重の女と乳飲み子をもつ女とは、不幸である。地上には大きな苦難があり、この民にはみ怒りが臨み、 24 彼らはつるぎの刃に倒れ、また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは、異邦人の時期が満ちるまで、彼らに踏みにじられているであろう。 25 また日と月と星とに、しるしが現れるであろう。そして、地上では、諸国民が悩み、海と大波とのとどろきにおじ惑い、 …
ルカによる福音書 22
1 さて、過越といわれている除酵祭が近づいた。 2 祭司長たちや律法学者たちは、どうかしてイエスを殺そうと計っていた。民衆を恐れていたからである。 3 そのとき、十二弟子のひとりで、イスカリオテと呼ばれていたユダに、サタンがはいった。 4 すなわち、彼は祭司長たちや宮守がしらたちのところへ行って、どうしてイエスを彼らに渡そうかと、その方法について協議した。 5 彼らは喜んで、ユダに金を与える取決めをした。 6 ユダはそれを承諾した。そして、群衆のいないときにイエスを引き渡そうと、機会をねらっていた。 7 さて、過越の小羊をほふるべき除酵祭の日がきたので、 8 イエスはペテロとヨハネとを使いに出して言われた、「行って、過越の食事ができるように準備をしなさい」。 9 彼らは言った、「どこに準備をしたらよいのですか」。 10 イエスは言われた、「市内にはいったら、水がめを持っている男に出会うであろう。その人がはいる家までついて行って、 11 その家の主人に言いなさい、『弟子たちと一緒に過越の食事をする座敷はどこか、と先生が言っておられます』。 12 すると、その主人は席の整えられた二階の広間を見せてくれるから、そこに用意をしなさい」。 13 弟子たちは出て行ってみると、イエスが言われたとおりであったので、過越の食事の用意をした。 14 時間になったので、イエスは食卓につかれ、使徒たちも共に席についた。 15 イエスは彼らに言われた、「わたしは苦しみを受ける前に、あなたがたとこの過越の食事をしようと、切に望んでいた。 16 あなたがたに言って置くが、神の国で過越が成就する時までは、わたしは二度と、この過越の食事をすることはない」。 17 そして杯を取り、感謝して言われた、「これを取って、互に分けて飲め。 18 あなたがたに言っておくが、今からのち神の国が来るまでは、わたしはぶどうの実から造ったものを、いっさい飲まない」。 19 またパンを取り、感謝してこれをさき、弟子たちに与えて言われた、「これは、あなたがたのために与えるわたしのからだである。わたしを記念するため、このように行いなさい」。 20 食事ののち、杯も同じ様にして言われた、「この杯は、あなたがたのために流すわたしの血で立てられる新しい契約である。 21 しかし、そこに、わたしを裏切る者が、わたしと一緒に食卓に手を置いている。 22 人の子は定められたとおりに、去って行く。しかし人の子を裏切るその人は、わざわいである」。 23 弟子たちは、自分たちのうちのだれが、そんな事をしようとしているのだろうと、互に論じはじめた。 24 それから、自分たちの中でだれがいちばん偉いだろうかと言って、争論が彼らの間に、起った。 25 そこでイエスが言われた、「異邦の王たちはその民の上に君臨し、また、権力をふるっている者たちは恩人と呼ばれる。 …
ルカによる福音書 7
1 イエスはこれらの言葉をことごとく人々に聞かせてしまったのち、カペナウムに帰ってこられた。 2 ところが、ある百卒長の頼みにしていた僕が、病気になって死にかかっていた。 3 この百卒長はイエスのことを聞いて、ユダヤ人の長老たちをイエスのところにつかわし、自分の僕を助けにきてくださるようにと、お願いした。 4 彼らはイエスのところにきて、熱心に願って言った、「あの人はそうしていただくねうちがございます。 5 わたしたちの国民を愛し、わたしたちのために会堂を建ててくれたのです」。 6 そこで、イエスは彼らと連れだってお出かけになった。ところが、その家からほど遠くないあたりまでこられたとき、百卒長は友だちを送ってイエスに言わせた、「主よ、どうぞ、ご足労くださいませんように。わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。 7 それですから、自分でお迎えにあがるねうちさえないと思っていたのです。ただ、お言葉を下さい。そして、わたしの僕をなおしてください。 8 わたしも権威の下に服している者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。 9 イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた群衆の方に振り向いて言われた、「あなたがたに言っておくが、これほどの信仰は、イスラエルの中でも見たことがない」。 10 使にきた者たちが家に帰ってみると、僕は元気になっていた。 11 そののち、間もなく、ナインという町へおいでになったが、弟子たちや大ぜいの群衆も一緒に行った。 12 町の門に近づかれると、ちょうど、あるやもめにとってひとりむすこであった者が死んだので、葬りに出すところであった。大ぜいの町の人たちが、その母につきそっていた。 13 主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。 14 そして近寄って棺に手をかけられると、かついでいる者たちが立ち止まったので、「若者よ、さあ、起きなさい」と言われた。 15 すると、死人が起き上がって物を言い出した。イエスは彼をその母にお渡しになった。 16 人々はみな恐れをいだき、「大預言者がわたしたちの間に現れた」、また、「神はその民を顧みてくださった」と言って、神をほめたたえた。 17 イエスについてのこの話は、ユダヤ全土およびその附近のいたる所にひろまった。 18 ヨハネの弟子たちは、これらのことを全部彼に報告した。するとヨハネは弟子の中からふたりの者を呼んで、 19 主のもとに送り、「『きたるべきかた』はあなたなのですか。それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか」と尋ねさせた。 20 そこで、この人たちがイエスのもとにきて言った、「わたしたちはバプテスマのヨハネからの使ですが、『きたるべきかた』はあなたなのですか、それとも、ほかにだれかを待つべきでしょうか、とヨハネが尋ねています」。 21 そのとき、イエスはさまざまの病苦と悪霊とに悩む人々をいやし、また多くの盲人を見えるようにしておられたが、 22 答えて言われた、「行って、あなたがたが見聞きしたことを、ヨハネに報告しなさい。盲人は見え、足なえは歩き、らい病人はきよまり、耳しいは聞え、死人は生きかえり、貧しい人々は福音を聞かされている。 23 わたしにつまずかない者は、さいわいである」。 24 ヨハネの使が行ってしまうと、イエスはヨハネのことを群衆に語りはじめられた、「あなたがたは、何を見に荒野に出てきたのか。風に揺らぐ葦であるか。 25 では、何を見に出てきたのか。柔らかい着物をまとった人か。きらびやかに着かざって、ぜいたくに暮している人々なら、宮殿にいる。 …
ルカによる福音書 23
1 群衆はみな立ちあがって、イエスをピラトのところへ連れて行った。 2 そして訴え出て言った、「わたしたちは、この人が国民を惑わし、貢をカイザルに納めることを禁じ、また自分こそ王なるキリストだと、となえているところを目撃しました」。 3 ピラトはイエスに尋ねた、「あなたがユダヤ人の王であるか」。イエスは「そのとおりである」とお答えになった。 4 そこでピラトは祭司長たちと群衆とにむかって言った、「わたしはこの人になんの罪もみとめない」。 5 ところが彼らは、ますます言いつのってやまなかった、「彼は、ガリラヤからはじめてこの所まで、ユダヤ全国にわたって教え、民衆を煽動しているのです」。 6 ピラトはこれを聞いて、この人はガリラヤ人かと尋ね、 7 そしてヘロデの支配下のものであることを確かめたので、ちょうどこのころ、ヘロデがエルサレムにいたのをさいわい、そちらへイエスを送りとどけた。 8 ヘロデはイエスを見て非常に喜んだ。それは、かねてイエスのことを聞いていたので、会って見たいと長いあいだ思っていたし、またイエスが何か奇跡を行うのを見たいと望んでいたからである。 9 それで、いろいろと質問を試みたが、イエスは何もお答えにならなかった。 10 祭司長たちと律法学者たちとは立って、激しい語調でイエスを訴えた。 11 またヘロデはその兵卒どもと一緒になって、イエスを侮辱したり嘲弄したりしたあげく、はなやかな着物を着せてピラトへ送りかえした。 12 ヘロデとピラトとは以前は互に敵視していたが、この日に親しい仲になった。 13 ピラトは、祭司長たちと役人たちと民衆とを、呼び集めて言った、 14 「おまえたちは、この人を民衆を惑わすものとしてわたしのところに連れてきたので、おまえたちの面前でしらべたが、訴え出ているような罪は、この人に少しもみとめられなかった。 15 ヘロデもまたみとめなかった。現に彼はイエスをわれわれに送りかえしてきた。この人はなんら死に当るようなことはしていないのである。 16 だから、彼をむち打ってから、ゆるしてやることにしよう」。〔 17 祭ごとにピラトがひとりの囚人をゆるしてやることになっていた。〕 18 ところが、彼らはいっせいに叫んで言った、「その人を殺せ。バラバをゆるしてくれ」。 19 このバラバは、都で起った暴動と殺人とのかどで、獄に投ぜられていた者である。 20 ピラトはイエスをゆるしてやりたいと思って、もう一度かれらに呼びかけた。 21 しかし彼らは、わめきたてて「十字架につけよ、彼を十字架につけよ」と言いつづけた。 22 ピラトは三度目に彼らにむかって言った、「では、この人は、いったい、どんな悪事をしたのか。彼には死に当る罪は全くみとめられなかった。だから、むち打ってから彼をゆるしてやることにしよう」。 23 ところが、彼らは大声をあげて詰め寄り、イエスを十字架につけるように要求した。そして、その声が勝った。 24 ピラトはついに彼らの願いどおりにすることに決定した。 25 そして、暴動と殺人とのかどで獄に投ぜられた者の方を、彼らの要求に応じてゆるしてやり、イエスの方は彼らに引き渡して、その意のままにまかせた。 …
ルカによる福音書 8
1 そののちイエスは、神の国の福音を説きまた伝えながら、町々村々を巡回し続けられたが、十二弟子もお供をした。 2 また悪霊を追い出され病気をいやされた数名の婦人たち、すなわち、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラと呼ばれるマリヤ、 3 ヘロデの家令クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの婦人たちも一緒にいて、自分たちの持ち物をもって一行に奉仕した。 4 さて、大ぜいの群衆が集まり、その上、町々からの人たちがイエスのところに、ぞくぞくと押し寄せてきたので、一つの譬で話をされた、 5 「種まきが種をまきに出て行った。まいているうちに、ある種は道ばたに落ち、踏みつけられ、そして空の鳥に食べられてしまった。 6 ほかの種は岩の上に落ち、はえはしたが水気がないので枯れてしまった。 7 ほかの種は、いばらの間に落ちたので、いばらも一緒に茂ってきて、それをふさいでしまった。 8 ところが、ほかの種は良い地に落ちたので、はえ育って百倍もの実を結んだ」。こう語られたのち、声をあげて「聞く耳のある者は聞くがよい」と言われた。 9 弟子たちは、この譬はどういう意味でしょうか、とイエスに質問した。 10 そこで言われた、「あなたがたには、神の国の奥義を知ることが許されているが、ほかの人たちには、見ても見えず、聞いても悟られないために、譬で話すのである。 11 この譬はこういう意味である。種は神の言である。 12 道ばたに落ちたのは、聞いたのち、信じることも救われることもないように、悪魔によってその心から御言が奪い取られる人たちのことである。 13 岩の上に落ちたのは、御言を聞いた時には喜んで受けいれるが、根が無いので、しばらくは信じていても、試錬の時が来ると、信仰を捨てる人たちのことである。 14 いばらの中に落ちたのは、聞いてから日を過ごすうちに、生活の心づかいや富や快楽にふさがれて、実の熟するまでにならない人たちのことである。 15 良い地に落ちたのは、御言を聞いたのち、これを正しい良い心でしっかりと守り、耐え忍んで実を結ぶに至る人たちのことである。 16 だれもあかりをともして、それを何かの器でおおいかぶせたり、寝台の下に置いたりはしない。燭台の上に置いて、はいって来る人たちに光が見えるようにするのである。 17 隠されているもので、あらわにならないものはなく、秘密にされているもので、ついには知られ、明るみに出されないものはない。 18 だから、どう聞くかに注意するがよい。持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っていると思っているものまでも、取り上げられるであろう」。 19 さて、イエスの母と兄弟たちとがイエスのところにきたが、群衆のためそば近くに行くことができなかった。 20 それで、だれかが「あなたの母上と兄弟がたが、お目にかかろうと思って、外に立っておられます」と取次いだ。 21 するとイエスは人々にむかって言われた、「神の御言を聞いて行う者こそ、わたしの母、わたしの兄弟なのである」。 22 ある日のこと、イエスは弟子たちと舟に乗り込み、「湖の向こう岸へ渡ろう」と言われたので、一同が船出した。 23 渡って行く間に、イエスは眠ってしまわれた。すると突風が湖に吹きおろしてきたので、彼らは水をかぶって危険になった。 24 そこで、みそばに寄ってきてイエスを起し、「先生、先生、わたしたちは死にそうです」と言った。イエスは起き上がって、風と荒浪とをおしかりになると、止んでなぎになった。 25 イエスは彼らに言われた、「あなたがたの信仰は、どこにあるのか」。彼らは恐れ驚いて互に言い合った、「いったい、このかたはだれだろう。お命じになると、風も水も従うとは」。 …